夕暮れの気配が忍び寄っていた。 バチカン大使館の敷地内にある芝生は雨上がりの湿気を含み、穏やかに佇んでいた。 綾乃と二人、古ぼけたベンチに座り、夕暮れの東京の空を眺めていた。 余りにも先ほどの話とはかけ離れた風景がそこにあった。 綾乃にそして僕に・・・いったい何ができると言うのだ。