全てが完全に管理された空間で、彼女は生きていた。白い肌、白い髪と、白い翅。 やはり白い毛の生えた翅は、彼女の調子に合わせて力なく動いていた。
友人が遺した娘。奴隷の身に落ち、だから私はその子を見つけ、保護をした。 彼女はほとんど何もしゃべらない娘だった。喋ることができないわけではないのは、知っている。
砂漠の世界。地面を覆っているのは黄土色の砂であり、それ以外にはなにも見えない。 風が吹けば砂は巻き起こり、砂の嵐が視界を覆う。そうなると、あとはこの世界を迷い歩くだけ。
死の神と出会ってからというものの、生きる意味は良い意味で失われ始めていた。 しかし終焉のときは刻一刻と近づいてくる。僕は死の神と出会うまでは、むしろ望んでいた。
聞き覚えのあるオカリナの音。きしむ船内で目を覚まし、その音の元へと足を運ぶ。 翼人は翼に風を受け、夜を楽しんでいた。オカリナの音が、その子を優しく包み込んでいた。
奴隷の反乱。それ自体は各地で起こっているのは知っていたし、けれども私には関係のないものだと勝手に思っていた。 首謀者は、私と仲の良い子だった。子どもの頃に付けられた奴隷で、可愛らしい女の子だった。
二人は悪魔の息子と娘。四つ子のはずが一人は流れ、一人は行方も知らず、二人きり。 母はいない、二人がまだ幼いときに病気で死んでしまった。父は知らない、顔も名前も声も、何もかもがわからない。 義理の父は優しいけれど、その妻は二人を恨んでいる。それにもめげず、二人は大きく成長した。