題名の【多子化】と言う熟語は辞書にはないが少子化の対称語として作者が創作した言葉である。主人公菜未《なみ》の夫留司《りゅうじ》は厚労省に入省後人口減少問題について持論を展開しそれが組織に受け入れられず苦労をする。そんな夫を支えつつ子育てに頑張る菜未の人生を綴った物語だが、留司の努力が果たして実を結び日本の少子化に歯止めがかかるのか? この小説は菜未の母昌代《まさよ》の青春時代から始まり娘菜未が留司と出会い夫留司の努力によりやがて我が国の社会保障制度の大改革につながっていく涙なくしては語れない壮大な人生ドラマである。