私は、ある事を思い出した。 小さい子には、大人には見えないものが見える。それは、成長するにつれて見えなくなっていく。 そして見えないものの大体は消えていく。しかし、絶対にやってはいけないことがある。
古より鎮守神として村人や旅人たちを護る存在だった、精霊・少女風(しょうじょふう)。 しかし現代の少女風は社に閉じ込められ、その意識は怨念の塊でしかなかった。 少女風を助けられるのはこの世に一人しかいない。 そして強い風の吹くある日、烏の啼き声と共に、下駄の音が鳴り響く。
あれ、おかしいなって。 もう夜九時過ぎなのに誰だろって、思ったそうなんです。 夜勤の仕事は二人一組なんで、相方さんに声を掛けました。 「今、車が入って来た音、聞こえなかった?」って。 相方さんも、確かに聞こえたって、そう言うわけです。 妻は書き物の続きをして、他の仕事が一段落した相方さんが、階下の玄関に見に行ったんです。
寝る段となり、伯母さんが「今夜はおばちゃんと寝ようね」と、仏間に布団を敷いていたのですが、その布団の敷き方に違和感を覚えました。足がお仏壇に向くように布団を敷いているのです。 お仏壇に足を向けて寝てはいけないことを知っていた僕は、伯母さんにそのことを言いましたが、伯母さんは何を気にするでもなく「いいのいいいの、大丈夫」というようなことを言うのです。伯母さんがそう言うなら僕が気にすることではないのだろうと思いながらも、何とは無しに不安を感じつつ、布団に入りました。