何から話しましょうか。まずは俺のことでしょうか。 俺は百田糸。26歳。メモリーブレインである。 メモリーブレインとは、故人が思い残した記憶を 受取ることのできる人間のことである。
あなた以上に大切なものなど何もなかった。 小さな身を懸けて、心から愛すること、命の尊さを教えてくれたリン。 あのかけがえのない日々を、ずっと。
春佳は価値のない自分を変えるため、徒歩でのお遍路に挑戦する。 しかし、三日目にして早くも挫折。帰ることもできずに彷徨い、山間の集落に流れ着く。 そこで見つけたものは、たくさんの現実と、一つまみの理想だった。