長くニューヨークに暮らした投資銀行員の相川蓮生は、別れた妻リツコと娘エツコをマンハッタンのコンドミニアム「サヴォワ」に残したまま帰国。やがて札幌で国際金融を教える大学教授へと転身していた。 学生の誰彼からとなく「恋愛先生」と呼ばれる蓮生。主には蓮生の「おんぶ」と「抱っこ」にまつわる噂に由来する渾名であった。ひとつは、蓮生におんぶされると恋愛が成就する、というもの。その実、研修医の葉子は、自ら願い出たおんぶによって蓮生の現在の恋人に収まっていた。さらには、別れたい恋人の前で蓮生にお姫様抱っこされると腐れ縁が切れる、というもの。こちらの真偽のほどは未だ知れない。 帰国して10年、蓮生をニューヨークに繋ぎ止めるのは僅かに娘エツコとの国際電話だけだったが、今回ばかりは恋人の葉子を伴ってニューヨークを再訪することに躊躇のない蓮生。リツコが家に戻らない、とエツコが電話してきたのだった。
億万長者の娘を守れ! 笑いを誘いつつも、いざという時はタフガイになる探偵ドウンが、吹雪の山の中で痛快な活劇を見せる。パルプ作家ノーバート・ディヴィスの傑作短編。
新聞の片隅に載っている「ベタ記事」。目立たないからこそ、その背景が気になる。そして、妄想してしまいます。