踏まれたのはこの町か。それとも僕の方だったか。…………全ての箱が開く時、メビウスの輪はヴァルナの索より開かれる。 確率の丘を越える時、エデンの配置は終末と創造を一にする。己の全能に慄く少年よ、愛を体現せしめよ。己の全知に竦む少女よ、愛を体現せしめよ。
サザンクロスの西方に、ある文明の言語で星の化石を意味するネピアと呼ばれた星があるとされる。その星は悠久の時を称えて、劫初より前から光り輝くと伝承されるが、その光は人間の目には見えないという。唯一、ある血族の者だけがその光を見えたという。
「ねぇ、世界が終わるとしたら何がたべたい?」 神はそう言って、林檎を渡した。 神の瞳を見て悟る。 ああ、そうだったんだ……。 視界が涙で滲む。 この日のために、生まれてきたんだ! 私が林檎を平らげると、神は拳銃を渡してきた。 そうなんだね。 私は銃口を自身のこめかみに当て……。
世界が裏返る。理は崩壊する。 人間を動かすものは、何? …………卵があった。血濡れの卵が。赤いスープに満たされた卵は、終末のような9月に孵化した。 中からは、一人の女が現れた。
脳さえあれば同じ快楽なのだからな。…………私は悩みました。 ――なんのために生きる? ――人生に意味なんてない。 ――生きる意味を求めるなよ。 そして、一つの結論に至りました。 創ろう、と。
命なんてこんなものだ。研究室に沈黙が訪れ、装置が起動した。 『終末プログラム起動』 私を閉じ込める装置にはその文字が表示されていた。…………旧人類の残した禁足地へ。政府が入ったら死ぬと告げたその地へと歩む少年に世界の真実が立ちはだかる。