蒼宮 那雪

書きたいと思った人生を書きたいままに。

某大学の文芸部長を務めております。
部誌のために書いたもの、部誌の締切に間に合わずお蔵入りになったもの、また大学入学前に書き溜めていたもの、部員以外の目に触れない作品を他の誰かに見ていただける機会がほしくて掲載スペースをいただきました。
最近は歴史や昔話を踏まえたような話を書くのが好き。
未熟者ですのでご感想・ご指摘いただければ幸いです。

桜並木で逢いましょう。

町の自慢の桜並木。 そこにある一本の桜。その下で待ち続ける一人の女。 新しい生活を始める春に、俺は故郷の桜並木を思い出した。まだ母親に手を引かれて町を歩いていた幼い俺は、多くの木の中から一本の桜を目に留める。桜並木の不思議な木の下には不思議な女が立っていた。小学生、中学生、俺は成長するのに女はいつも微笑んでそこに立ったまま。高校生になった俺は、長年親しんだその桜並木を離れた。 俺が思い出すのを待っていたかのように、その再会は訪れる。 彼女は何を待っていたのか。

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「夜分遅くに申し訳ありませんが」

「夜分遅くに申し訳ありませんが」 静かな室内に、闇とともに静かに侵入してくる影。 死にゆくものの最期を看取り、最後の願いを叶える死神。たった一人で部屋に籠る少年の最期の願い。最後の三日に寄り添う死神が見たのは、死を受け入れながら、むしろ死を望むような少年の孤独な姿。出会いの一日目、少年の日常の二日目、そして少年を取り巻く真実を知る最後の日。少年はなぜ死ななければならないのか。死にゆく少年に、死神が最後に吐いた嘘に込められた心情は。

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とうこ

太陽のような笑顔で、誰からも好かれる同級生・灯子。 そんな彼女はなぜ私のような存在とかかわるのか。光と影のような相反する二人の共通点。 太陽のたった一つの黒い点。彼女が抱える事故の真実に気づいた私は、彼女を悩ませる事故の犠牲者、彼女の弟に会いに行く。私にしかわからない、きょうだいそれぞれの気持ち。そして事故の真相。私が二人を結びつけたとき、怪しい均衡の上に成り立っていた灯子は。

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雪女ノ抄

或る戦の最中、己が足を負傷した一人の男が居た。 降頻る真白な雪の中、男が辿り着ひたのは一人の老婆が住む小屋であつた。 男は藁にも縋る思ひで其の小屋に逃げ込むだ。 冷へ切つた男に、老婆は温かな飯を用意する。 「雪女を、御存知でせうか。」 老婆は語り出す。切なく冷たひ、身も凍る様な昔語り。

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生き人形

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