僕は悪くないよ。 そう言う長生きな人形は、ネガティブな感情を向ける人間が嫌いだった。 楽しく過ごした日々もあれば、そうじゃない時もある。 僕は、いつも楽しく過ごしていたいだけなんだ。 すぐ読めるショートショート。
「君は誰の幸福と引き換えに、大切な人を救いたいの?」 人間の汚欲。人間の偽善が交錯する大戦末期。 車掌見習いのイリヤは故郷の復興資金をまかなうため、ドラハテンの駅舎を目指してはるばるソ連から旅をしていた。 お人好しな死神、おてんばな風の子、戦闘狂のお嬢様――旅路で知り合った仲間に支えられながら、旅は順調に進むかと思われた矢先。 亡き恋人のクローンが自身の行く先に現れ、無差別な殺戮をし始めた。 恋人の父親によって量産され続ける彼女たちは兵器として利用され、イリヤの駐在する枢軸国に弓撃つ存在となっていた。 悲劇の集塊を絶たんとして、イリヤは彼女たちの破壊を決意。 恋人から授かった力を手に、その足は悪魔の鍵を握る時計台へと進んでいった。 その決意は誰を救い、何を滅ぼす呪いなのか。その願いは誰を侵し、何を蝕む禍なのか。 答えはすべて、道中の線路へと繋がっていく――
あなた自身が全ての種の頂点だと思っているとするなら、それは大きな間違いである。 外の世界からみた人はそうは思わないかもしれません。