その豊満な肉体をもった彼女に、僕が一目惚れするまでの時間は秒数の単位をつけられなかった。僕は立花夏夜という彼女を見かけたその瞬間から、莫大な性欲の踊りを許してしまっていたのだ。僕のその浅はかな思考は、やがて後悔へと変わることとなる。 季節は夜に目隠しされたまま、立ち止まることなく歩んでいく。いつまでもそこに月はたたずみ、僕にあの桜がよどんだ川面を思い出させるのだ。
【短編】ある猫は悩んでいた。それは猫が恋している女学生の顔から、笑顔が消えたことだった。どうして彼女は変わってしまったのか、猫はわからないでいた。彼女の失くしてしまった表情を見つけ出すため、猫は自分なりに彼女を救おうと努力するが……。
ある季節を、ぼくは探していた。それなのに、ぼくはそれから逃げていた。深い霧を抜けようと、ぼくは思っていた。それなのに、ぼくはそれから逃げていたのだ。弱いぼくは傘をさし、モノクロームなままの街で逃げるだけだった。君は夜明けのまにまに雨を降らしてくる。コーヒーは苦いまま冷めていく。蓮の花もまだ服をきたままで、蜘蛛の糸も垂れてこない。「さよなら」と言えないぼくが逃げこんだところは、ぼくの知らない街だった。
「校内に落ちているおはじきを7つ拾い集めると、願いが叶う」という噂を敦は耳にする。このところ元気のない紗羅は、なぜかその噂が広まると困るのだと言う。夏休みを目前に控えたそんなある日の夜、紗羅は突然敦の家にやって来る。なかなか用件を切り出さない紗羅。その時電話がかかってきて、敦のクラスメイトの持田メイが行方不明となっていることが判明する。「犯人は自分なのではないか。」疑いを拭えない紗羅。紗羅と敦は敦の友人たちとともに、メイを見つけるため夜の学校に忍び込む。※「小説家になろう」にも投稿しています。
序章では薄いですが本編はがっつり同性愛要素がでてきます。
嫌々参加したハロウィン・パーティー。 そこで出会った不思議な少女。 少女は一体何者なのか。 お化けがイタズラする世界の扉が今開きます!
部活帰り、その日はミーティングがあって遅くなってしまった、槙(マキ)。 電車から降りて、すっかり田舎な自宅の地域に着いてから、妙な人影に後を付けられてる事に気付く。 そこで、記憶は途切れ次に見えた景色は、埃と、カビ臭さの気になる洋風の建物。 そしてそこにいるのはどうやら自分だけではなくて...?
部員3名の「ビバ☆道化師部」の紅一点、水戸ゆりなの飲んだココアには、異物が混入していた。依頼人としてゆりなとともに探偵部を訪れたのは、紗羅のクラスメイトでイケメンとして有名な少年、朝日橋洪。紗羅の挙動に依頼人への恋心を感じ取った敦は、紗羅の推理を信じることができない。探偵と助手の関係に、初めて亀裂が生じる。ケンカの後に紗羅のとった行動とは。※「小説家になろう」にも投稿しています。
母を6歳にして亡くした主人公粟崎 利乃【あわざき りの】は、母が亡くなったことをきっかけに全ての感情を失くしてしまった。 だが、利乃は中一の春に一つの感情を取り戻す― それは”友を思う優しさや喜び”だった… その感情を思い出させた人物、それは、幸本 由斗【こうもと ゆうと】 ごく普通のどこにでもいるような明るい青年だった。 由斗には多くの友人がいて、親友もいる。 利乃はいつか俺も由斗の親友になりたいとひそかに思うようになっていた。 そして、由斗は一つ誰にも明かしていない秘密があった… それは、幼いころのある小さな一つの事件にあってからの事だ ”不思議な能力”…と言ってもいいだろう 利乃はその不思議な能力に引き寄せられたのか、はたまた偶然か… ―これは、ある殺し屋の家族とある日突然不思議な能力を身に付けてしまった笑顔の絶えない明るい少年を描いた現実にありそうでない話―
資産家の息子旭樹《あさひたつき》は、鳴かず飛ばずの小説家。彼に降りかかる悲劇と、掘り返される彼の悲しき過去。それぞれが結びつき彼に悲しき事実を突きつける。
美術部で起こった、「絵を汚される」という事件。中学二年生の渡瀬敦は、編入早々「自称探偵」の女子、法月紗羅に助手扱いをされる。はじめは反発する敦だが、やがて一見自信満々の彼女の弱さを知ることになり……。※「小説家になろう」にも投稿しています。