チューベローズ序章
主人公の思想や過去にまつわる話です。
本編を書く前に載せて置きます。
文章力のなさにはご勘弁を><
始まる前に......
不思議な話だ。
僕は、昔から人に《変わった人》
そういわれた。
自覚なんてない。ただ、うっすらと過去を振り返る。
幼いとき、僕は公園で遊んでいた。ひとりで。周りに人がいなかったわけじゃない。まるで自分が透明人間のように、周りから認知されていなかった。
どうにか、人と会話をしようとしても避けられてしまう。
まるで僕が僕であることを嫌うかのように。
それから、母はそれを心配してか多くの習いごとを僕にさせるようになった。多くの人と交われば、それが解消されるとでも思ったのだろうか。
水泳、習字、バレーボール、新体操、ピアノ、塾
それを輪廻のように繰り返しおこなった。
でも、
それら全てが僕を拒絶した。
最初は歯を見せて笑っていた顔も、口を大きくあけて罵声をあびせる群れと化していた。
母は引越しを理由にそれら全てから縁を断ち切った。
「これでいい」
そう母は言ったけれど、僕の中の”これ”はそれを納得などしていなかった。
引っ越してからというもの、
母は、今まで以上に僕に厳しくするようになった。
それはまるで自分とは違う人格を生み出すような気分だったと思う。
笑いたくないのに笑みを浮かべ、
やりたくないことも進んでやるようになり、
やがてなにも断れなくなってしまった。
『つまらない』
しかし、不思議と人が寄ってくるようになった。
幼い頃のような拒絶もない。まるで街灯に蛾が集るように。僕にはそう思えた。
その頃からだろうか?
僕にはある《趣味》が出来ていた。
そこらにいる野良犬や野良猫、カラスを
バラバラに解体すること。
犬の頭を父の作業箱の中にあるのこぎりで切り取って、胴体以外を切り取った猫にカラスの翼と共に母の裁縫道具の針と糸で縫い合わせてみた。
でも、ピクリとも動かない。だから遊び相手にもペットにもならない。
洗剤に浸したり、油で炙ったり、木に吊るしてみたのだけれどなにもかわらなかった。
そうやって何匹何羽と玩具を作っているうちに楽しくなってきた。
両親はそれに気付かなかった。
両親は僕の違う僕をみていたから。
成長していくに連れ、
その趣味にも飽きた。
僕が心から欲していたものはなんだったんだろう?
他人である人と関わること、他人に自分を見てもらうことなのだろうか。
『愛して欲しい』
ある程度の年齢になると僕も、ひとを愛おしいと思う感情が出てくるようになった。
けれど、いまのままでは誰も僕を《僕》をみてくれない。
見ているのは僕じゃない僕だけ。
だから、
ちゃんとみてもらえるように愛した人に僕の全てを話した。するとなぜか愛した人全てが幼い頃味わった拒絶を僕に見せたのだった。正直、ショックだった。悲しかった。
それから僕は愛してもらえるように必死に考えた。本当の僕を受け入れて愛してもらえるように。
はじめは少し不器用だったけど、
愛する人をバラバラに切断して綺麗に皮を剥ぎ取って剥き出しのありのままの姿をした真っ赤な身体に性行為をした。
この時、僕は初めて満たされた愛の感覚を知った。
何度も、何度も繰り返しているうちに、
快楽となったことで、衝動は抑えられなくなる。
愛しい人全てに自分を与えたくてしょうがなくなっていた。
自立してからは、
マンションの自分の部屋を改造して人を招くようになった。
愛した人に負荷がかからないように麻酔も投与するようにして自分の中の精液を身体に注ぎこんだ。それから真っ赤な身体を爪先から頭のつむじまで優しく舐めまわした。愛しい人のかすかな息が消えていくのをきくのは、たまらなく好きだった。
『永遠に』
そうやって愛を確かめていたはずなのに、一瞬でそれは奪われた。
【今】
僕はとある病院にいる。薄気味悪い、院内で夜にはうめき声が部屋のいたるところから聞こえる。
おかしくなりそうだ。
両親は見舞いにもこない。
でも、悪い気はしない。そう思う僕もいる。
だとしても、もう遅い。
”また”彼が迎えにくる。
僕の人生を狂わせた人間。
僕を最も愛した存在。
足音がきこえる。
『おはよう』
-end-
チューベローズ序章
本編は、こんな感じではなく普通に展開していきますので!!(汗)