白い息が締め切った窓硝子にぶつかって楕円形に広がった。それは知代圭介の吐き出した深い溜め息であり、部屋の中にまで侵入してくる冬の寒さを物語っていた。/2014年製作。古い作品です。稚拙すぎて恥ずかしいのですが自分が書きたいことは伝わってくるので記念として投稿しておきます。
最悪だ、と思った。開け放した窓からは夏日が差し込み、蝉の声は戦争のように苛烈。それだけでも最悪なのに単位が危ないと担任から忠告され、夏休み返上で補習に出たら不良で有名な沢渡彩華が隣の席だった。/2019年製作。投稿サイトの企画に参加するために書いた作品です。
小説の真似事だと言って私は眠りについた。最後に見た彼の姿はひどく不安そうで「百年も待てない」と顔に書いてあるようだった。私は「百合の花でなくとも、きっとあなたの前に現れます」と心の中で呟く。/2019年製作。投稿サイトの企画に参加するために書いた作品です。
誰にも侵入されないように下ろした、窓のクレッセント錠。閉め切ったベージュのカーテンに、肌寒い冷房の風が当たって静かに揺れる。私の心も、こんなふうに不安定に見えるのだろうか。/2017年製作。女性の揺れ動く心情をテーマにしたお話です。女体盛りのシーンがあります。
極彩色のネオン。往来を走る車が、威嚇するようにクラクションを鳴らした。美亜は不安から、繋いだ手にぎゅっと力を込める。十二月に入ってから、一段と日没時間が早くなったように感じるのは気のせいではないはずだ。太樹は、美亜の手を握り直した。冬が近付くと一日が短くなったみたいで切ない、と少し前に、美亜が言っていたのを思い出したからだ。/2019年製作。女装がテーマの作品です。