バビロンに促され、無残に切り刻まれた死体に突き刺さるナイフに触れた瞬間、彰彦に数十人分の痛みと恐怖がイメージとなり流れ込んだ。想像さえ出来ないほどの痛みに、精神が崩壊する直前。バビロンは自分の世界に再び彰彦を迎え入た。そこで彰彦が見たものは、次々と人々を殺しモンスター化していった最愛の人。香奈だった。香奈に後悔にも似た深い愛を抱く彰彦は、悲しみに沈みながらも変貌してしまった香奈を救う事を誓う。一方、現実世界で倒れた彰彦に付き添い救急車に乗り込んだ彰人(アキト)は、見えないはずのバビロンをおぼろげながら視界に捉えてしまう。影のように時々見えるバビロンを悪霊だと思い込んでしまった彰人は、彰彦を救う為に悪霊祓いの禁断術法を使う決断をし、姿を消す。香奈を想う彰彦。彰彦を救おうとする彰人。そして変貌してしまった香奈。その心には彰彦がかすかに残っていた。AEDにより現実世界に引き戻された彰彦は些細な香
一生懸命に話す傍らの女性を愛おしく感じながら、君の笑顔が何度も脳裏に過ぎった。ひょっとしたら悪趣味なのではなくて一途なだけかもしれない、そんな気づきには蓋をするに限る。
社会人になってから再会した四人の男女は、彼らがその青春時代を送った小さな島にまた行こうと計画を立てる。お調子者の深野翔太、高校のときから付き合っていたカレと別れてしまった古閑美咲、密かな片想いを抱えていた宮西真央、マイペースな坂入優――それぞれが異なる思いを込めながら、かつての合言葉を胸の内で呟く。「きっと全て上手くいく」
そんな彼に、私は優しく語りかけた。そうだ、もう終わりにしよう。そんなことを思った。「私、季節の中で冬が一番好きなんだ。それと、冬に咲く花も好き。何でだと思う?」