大阪に近い兵庫県の或る市役所に勤める大林篤彦は、土木の関係の仕事をしている。 毎日仕事が終わると駅前の居酒屋へ向かう。 酒は浴びる程飲む男だが、この町で駅前再開発、駅北区画整理、幹線道路構想と大きな事業を大野市長が発表して、篤彦にその中枢の役職が廻ってきた。 それは、酒を飲むしか能の無い男を利用して、市長の追い落としを画策した一派の作戦だった。 賄賂と陰謀の渦巻く中に放り込まれた篤彦。 事業の利権を求めて、加納建設、高松興業、そして大手の三俣建設が入り乱れて事業獲得合戦を繰り広げる。 加納建設社長の愛人である美貌の加山亜佐美は、スナックを与えられてこの争奪戦に参戦する。 それぞれの過去と現在が交錯して、物語は進んで行く。 地元の資産家富田喜一と大野市長の思惑。 酒を飲む事しか能の無かった篤彦に危険が迫る。 緊迫の展開、二転三転の物語をお楽しみ下さい。
大学生の冴は、ある朝思い立ち、ピアスを開ける。何かが変わらないかと期待したのかは分からない。それを行きつけの古着屋のまーさんに見せに行くと、「トクベツ」に売り物のピアスを貰う。
平安末期から鎌倉前期を生きた、先祖の話です。 上毛(今の群馬県)に所領を持っていた殿さまでした。 ご先祖様もおれ同様、純情でフェミニストであったようです。
超弱小校の宮二中吹奏楽部に強豪校上野中から美人転校生がやってきた。彼女はここに溶け込んだように見えていたのだが――。 彼女を中心として起きる奇妙な事件。その真相とは――。 竹取物語をモチーフにした青春ミステリ。
戦前から「嫌悪の坩堝」と呼ばれた風の街、『赤江』。 差別と貧困に苦しみながらも前だけを見つめる藤代友穂と、彼女を愛する伊澄銀一の若き日の物語。 この街で起きた殺人事件を発端に、銀一達とヤクザ、果てはこの国の裏側で暗躍する地下組織までもが入り乱れ、暴力の嵐が吹き荒れる! 前作『芥川繭子という理由』に登場した人物達の、親世代のストーリーです。 直接的な性描写はありませんが、それを思わせる記述と、残酷な描写が出て来ます。
〔 —部屋で何度も 何度も 聴いていた歌があった— 〕 現実を受け入れられずに、自分の世界に生きる少女の物語。 忘れられない、大切な人、景色、歌…。 そんなものたちに、触れたくなる作品です。
攻めが処女は面倒だと言っているのを聞いてしまい、自分が処女だとバレる前に他の男で処女を喪失しようとした受けの話。BL注意。
肘が僕に突き刺さる。 色んな人の尖ったものが突き刺さる。尖ったものだらけだ。電車の中ではみんないつもより尖る。 僕は周りの人に迷惑かけないように、ちゃんと丸めてある。いつも磨いて、誰にも突き刺さらないようにしてある。これぐらい社会人して当然だ。みんな知らないだろうけど。 陛下も僕のことをちゃんも分かってくれてる。