体から宝石を作り出す少女と、辛辣な執事の、廃墟での生活。 ふたりだけの世界のお話。 性的表現を含みますので、ご注意ください。
1997年。父の仕事の都合で新潟から福島の小学校への転校した一哉は信濃川の桜を懐かしみ、転校先の学校でできた友達に教えられた松川の桜の下で一人の少女と出会う。 プルシアンブルーのワンピースを着た、高潔な美を纏う少女に少年は恋を覚える。
―――ホフノーグ王国。 そこは【クライノート】と呼ばれる石に宿る【魔法】と【固有の能力】をもった人々が生きる5つの島からなる小国。 小さな魔法の島国はのちにマイレンシュタインの日と呼ばれる時を境にゲシュペンストなる異形の者達が国中に蔓延り、人々はある限られた条件下でしか生きられなくなった。 彼らに対抗するため、そしていつかの平和を願い魔法を司る王直属の政府機関widdeRにより発足された公認組織・プロタクトのもとへ光の導きによりやってきたのは、 ―――特異なことはなにひとつない、いたって普通の女子高生だった。
文永の年、紀州熊野を歩く念仏聖、智真は一人の僧に行く手を遮られた。世俗の縁を捨て、念仏を勧めて生きることに生命を懸けようと、勧進に踏み出したばかりの智真は、僧の疑念に応えることが出来ず、熊野本宮に篭もる。そこでの幻想体験を通じ、智真は一遍と名を改め新生する。 時宗の始まりの物語。
中島敦「山月記」のパロディ。くろはによる漫画作品「帰宅部活動記録」中のネタと、森見登美彦による「山月記」(『新釈 走れメロス』所収)から着想を得た。【短編 8,468文字】