柴田が斎場に着いたのは、式の二十分前だった。入り口には『鹿苑寺正三郎氏お別れの会』との立て看板が掲げられている。早すぎたのか、まだ人は少ない。受付に行くと、親族らしい老人がポツンと座っていた。老人は、参列者としては若すぎる柴田をいぶかしげに......