あの頃の僕は生と死の狭間で、痩せてく世界のために、愛を歌ってはよく、血反吐を吐いた。嗚呼、僕も死んでいくのか。安らかに、穏やかに、永遠に死ぬ。
愛しいヘレーネ、最愛の人よ 私はこの世に伴侶を得ました あなたはたまたまそちら側にいて、何も気づかない。それでもいいんだ。
素晴らしい! 天上楽園の乙女よ 未来で祐ける きみのための詩 この柔らかな翼で はばたけ人生 全てのゼーレたちは 歓喜に踊る。 ああ、愛おしい。 全人類は終末の日に 兄妹となる。 前兆 前触れ ああ、楽しい 嬉しい 至上の歓び 僕は生きている いまここで生きているんだ
生まれること、死んでいくこと。出逢うこと、別れること。創ること、壊すこと。そして、僕はラカン・フリーズの門を見据えた。それは永遠。それは終末。智天使ケルビムだって神の御前に立つんだ。僕の柔らかな翼はもう十分休んだんだ。本当に永かった。嗚呼、それももう終わるんだ。 ありがとう
翌日、神皇アルナ・アース・ルイス・ユニバース改めヘレーネ・ソフィア・フィールデントは日本に向けて飛び立った。全知少女はただ、愛のために旅立つ。出会い、ともに歩み、そして死んでいく。そのすべてが見えるヘレーネは、一人の男を選んだ。それは仕組まれた運命。全知少女が合わせる辻褄。世界は続く。始まりもなければ終わりもない世界。円環に螺旋。そんな世界を終わらせるシナリオをヘレーネは遠き過去2021年1月の神奈川で見た。