ファンタジー、童話の習作を少しずつ掲載していきます。
挿絵も自分で描いてます。大きめの画像はブログの小説カテゴリにて公開中です。
やわらかなうす紙が色をすうように、老婆のまわりのコンクリートは、そまっていきました。赤や緑のつるが、老婆をつつむようにして、のびていきました。
無に還る場所とされる、何も存在しないはずの砂漠。塔は突如として出現し、最期に向かってやすらかに歩いていた男の心を波立たせた。――あの場所に行き着くまで、この身体は持つだろうか――。
男は重いやまいにかかっていました。そして、まいにちがさびしくてさびしくて、しかたがなかったのです。