大震災にこんな自分でいいのかと思う。
私がシュテファン・ツヴァイク((1881.11.28-1942.2.23, オーストリアの作家)を知ったのは20代のころだった。ドイツ語を理解できなかったため、ツヴァイクの心の情念を読み取ることができなかった。本書は不安(Angst)というタイトルで翻訳されている。私はFischer版(2005年12月発行)Stefan Zweigシリーズ中のAngstを全訳。(訳者)
翻訳者:古市重郎(フルイチ・ジュウロウ)
神奈川県生まれ、文林書院編集部、印刷会社営業等々。
翻訳書:「罪の影」原作者マリア・ルイス・フィッシャ(全国学校図書協議会選定図書)、「女子寮物語」原作者マリア・ルイス・フィッシャ、「イレーネ夫人」:シュテファン・ツヴァイク,「エリカの恋」:シュテファン・ツヴァイク、他
現在、横浜市青葉区在住
イレーネ夫人は若手ピアニストと不倫の関係をもつ。夫人の不倫は女サギ師にばれてしまう。女は夫人に脅迫し金銭を要求する。夫人は不倫の恐怖に襲われ強迫精神症におちいり死においこまれる。夫も信じられない。自分の存在も信じられない。夫人は気が狂ったように乱舞をまう。生と死の間をさまよう。
ピアニストのエリカは若手名ヴァイオリニストと恋におちる。二人は相思相愛の仲になった。しかし、別れがきた。まさかのエリカは彼を信じていたのに、恋をうしなう。悶々と悩む。死をのりこえて生に自己をたどりついた。ツヴァイクの死生観は方丈記をふと思い立たせる。そこにマリーアントワネットの女の運命のはかなさをうたう声がきこえた。