また会う日を楽しみに Ⅴ

また会う日を楽しみに Ⅴ

『ルキフェル、今日も来てくれたのね』






イヴは俺に気付くと、にこりと笑った。



俺はイヴの笑顔が何よりも好きだった。




『イヴ!具合は大丈夫なのか!?』



イヴは、病気だった。



寿命はもう多くはなかった。




だから、いつも安静のためにベッドにいた。




『ええ、大丈夫。元気よ。いつも空から来てくれてありがとう。大変でしょ、地上にくるの』



イヴは俺の頭をぽんぽん、と撫でる。



あぁ、和む。





『そんなことはない!俺はお前に会えるだけでうれしいんだ!』






『そっか・・・嬉しい』



『イヴは俺が嫌いか?』



『貴方を嫌いになるなんて・・・あるわけない。私は貴方のそのきれいな瑠璃色の瞳が好き。吸い込まれちゃいそう』




『イヴ・・・』



『私は貴方を最高の友人だとおもってるわ』



『友人・・・か』



皮肉なものだ、人間の女に



この俺が




こんなに夢中になるなんて。




『?どうしたの?』






『・・・なんでもない』




それは、何百年も前の話。





ーーーーーーーーーー



「ユキ・・・!どこだ!ユキ!」




ユキをさらったのは、あいつだということはすぐに察しがついた。


あいつは、ユキの中の・・・違う存在を見ていたから。


だから今まであいつにユキが目をつけられないか、見守っていたのに・・・。






ユキ。




ユキ。




「ユキ・・・」





「あの人間を探しているの?大天使様。・・・ううん、今はこう呼んだ方がいいのかな」




声がした。


それは、聞いたことのある声だった。






「高橋君」





「君は・・・真咲・・・さん」



たしか、ユキの友人だったはず。



「雪はこれから、生まれ変わるの。イヴとして。・・・だから邪魔しないでね、大天使様」




「君は、何者なんだ」





「私はあの方に仕える者。あの方は雪をいう人間を・・・ううん、イヴを欲している。だから私はそれに従う」





あいつの力か。


彼女は操られているのだろう。


ユキの選んだ友人がこんなことを言うはずがないのだから。


でも、そんなことは僕には関係ない。



けれど。


ユキはこのことを知ったのだろうか。


ユキの悲しむ顔は見たくないなぁ。




ユキは今無事なのだろうか。



ユキに、早く会いたい。





「君、誰に向かって口をきいてるの」


「・・・!!体が・・・動かない・・・」



「僕に勝てるとでも思ったの?」




「・・・クソッ・・・天使が・・・」


「君のことはどうでもいい。本当はすぐにでも排除してしまいたい・・・けど、君はユキの友達だから」


「・・・とも・・・だち・・・?」


「君を傷つけたら、ユキが悲しんでしまう」





「高橋・・・君」





彼女は一筋の涙を流した。



「勘違いしないで、ユキの悲しい顔を僕は見たくない」


こんなことをしている場合ではない。



ユキに会わなければ。


でも彼女を置いてユキに会ったらユキに怒られそうだ。



「解放してあげる。ユキは絶対に僕が連れて帰ってくるよ」



「違う!私は!あの方に仕えられればそれでいいのだ!」


「それは"君"の感情であって真咲さんの思いではない」


「やめろ!やっと、やっと手に入れた体なのに!」



僕は呪文を唱える。



「ー誰が神の如きか」





「うぅ・・・、高橋・・・くん・・・」





「我の名は





大天使、ミカエルなりー」




「雪を・・・お願い・・・」



そう彼女が笑うと、彼女の体は光になって消えた。



通常の世界に戻ったのだろう。



「絶対・・・連れて帰るから、ユキ」


彼女のためにも・・・。



そして


僕のためにも。





ーーーーーーーーーー




『ごめん・・・なさい・・・』



『イヴ、そんなこと、いわないでくれ』



『私は、もう生きられない・・・の。もっと、あなたと一緒にいたかった。もっとあなたと・・・』



『イヴ・・・!待ってくれ、イヴ!まだ、俺はお前に言ってない言葉があるんだ!』



『ごめんね・・・こんなに、弱くて、ちっぽけで、ごめんなさい・・・』





彼女は一滴の涙を流した。






愛している。ずっと、ずっと愛している。



届かない。



いくら彼女に訴えかけても




届かないというのに。



それでも、俺はやめない。


彼女が認めてくれるまで、俺はやめない。


あぁ、神はどうして彼女を殺したのだろう。




神はどうして俺の最愛の人を、殺したのだろう。



どうして・・・。





『でも、人間を、神を、嫌いに、ならないで、あげて・・・』




人間なんて、神なんて、大嫌いだ。






足掻いてやる



どんなことをしても




もう一度イヴに会ってみせる。








ユキは次に目が覚めた時、過去のすべてを知ることになるだろう。




俺が"ルキフェル"だということも




君が"イヴ"だということも




そして、あいつがー・・・





大天使だということも。

また会う日を楽しみに Ⅴ

主人公、出てきません^p^寝てます!
次はついに?でもないかな。
結構物語の核心的なところになるかもです。(多分)
まあ核心も何もないんだけど・・・えへへ。
更新遅くなると思います!すみません!


プロローグ http://slib.net/28770
Ⅰ http://slib.net/28788
Ⅱ http://slib.net/28917
Ⅲ http://slib.net/29218
Ⅳ http://slib.net/29862

最近見てくださる人が増えた気がします!ありがとうございます!!

また会う日を楽しみに Ⅴ

『僕が君を、ずっと守ってあげる。そのかわり、君の全てを僕にちょうだい?』 彼には 白い翼が生えていた。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-14

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1. 1
  2. 2
  3. 3