定められた運命だからこそ、人は抗いたくなるもの…。13年の月日は何を変えたのか…? どんなに遠く離れていても、惹かれ合う魂は…やがて抗いがたい情熱の炎を持ってぶつかり合い燃え上がる…。新たな苦しみを伴って…。
アレックスに触れられるたびに私の心は乱れていく…。魔性の美しさを誇る”ホーク”はきっと私を手に入れたら最後、離れていくに違いない…。だって私は娼婦だから…。どんなに想っていても混血の私が英国貴族のましてや公爵夫人になどなれるわけがない…。
漱石の夢十夜を読み終わって、寝るつもりでベッドの布団をめくった。そうしたらシーツの上でピンク色のテントウムシに似た虫が、青いつぶらな目を自分の方に向けた。刺されるとかゆくなるのはいやだ。どうしようか。
色も白くてきれいな茸だ。そう思ってみていたら、一つの茸がお辞儀をした。「あたい、唐笠茸よ、あんたはじめてね、どーお、一緒に歩く」 そう言うとふーっと、背が少しばかり伸びて土から飛び出した。
福知山に百八寺と呼ばれる寺があった。住民は住職に何でも相談したが、相談に訪れるのは人間ばかりではなかった。茸たちのよい相談相手でもあった。