愛子は、親の策略で、体こそ弱いが、心はとても優しい男、尋一と結婚した。二人で呉服店を始めたが尋一はまるで商才がなく愛子はいらだちを隠せない。彼女は、失声症になってしまった青年、健太と関係を持ってしまい、さらに夫婦関係は泥沼化していく。
その男は不老不死を得た。 読者にはまず、この男に起こった恐ろしい、あまりにも残酷な運命について、あらすじのように淡々と述べることをお許しいただきたい。 この出来事はあまりにもおぞましいので、ドラマチックに事細かに描くには、私の精神力が追い付かないのである。 私はこの話を作っているとき、ひどく精神力を消耗した。もうこのような話は二度と書くまい。