その温泉郷の山の中に、不思議な箘輪があった。異なった種類の茸が輪になって生えているのである。いったいそれはなにか?。
茸書店の出している冊子のお話し。その村では、ぎょうれつもたし(ささくれひとよたけ)がでると、ぽっくりで死ぬ人がでた。
文永の年、紀州熊野を歩く念仏聖、智真は一人の僧に行く手を遮られた。世俗の縁を捨て、念仏を勧めて生きることに生命を懸けようと、勧進に踏み出したばかりの智真は、僧の疑念に応えることが出来ず、熊野本宮に篭もる。そこでの幻想体験を通じ、智真は一遍と名を改め新生する。 時宗の始まりの物語。