世界テクテク旅 オーストラリア ロマンチック編 パート1
月丘 唯花。18歳。 大学進学を控えた秋、 階段から足を滑らせた唯花が 目覚めたのは、 なぜか事故が起こる前日だった。 避けられない運命を前に、 唯花がとった行動とは―――。
アイツに気付いてほしいから。 アイツに笑ってほしいから。 アイツを好きでいたいから。 海色の風をこの胸に感じて 約束なんて、要らなかったんだねと 全てをその優しく細めた目で 見つめ返してほしいから。
もし、このフェンスが無かったら 例えば、変わってしまったアイツを 本来のアイツに、連れ戻せるのに 一緒に、笑い合えるのに 約束なんて、いらないのに…
「十年前に戻る。」幼馴染から突然言われた朝実。 仕事も、私生活も何一つ不自由のない親友の恭子が姿を消した。 その日から朝実の不思議な日々がはじまる。 ねぇ恭子。全ての原因は、十年前の「あの」出来事ですか?
ああ、リナリア。 私の可愛い姫金魚草。 貴方も何時かは枯れる刻が訪れるのでしょう。 だったら今、私はこの身をかなぐり捨ててでも。 貴方を刻みましょう。私の胸にあなたを。姫金魚草の彫刻を。 愛おしい貴方が、私を取り巻く環の中から消えてしまっても大丈夫なように。