下條が、今年小学校に上がったばかりの息子の和之がいないことに気付いたのは、昼少し前だった。普段は日曜日でも接待ゴルフで家を空けることの多い下條が、珍しく朝から和之と遊んでやったのだが、慣れないせいかすぐに疲れてしまい、早々に妻の明子に…
捜査から外された園田の元に、一通の招待状が届く。 それは博子の18の誕生日を祝うパーティーの招待状だった。 すっかりその気になってめかしこんでいた園田に、当日に剛から急な依頼が入る。 嫌々ながらその依頼を引き受けた園田だったが、用事を片づけた時にはすでに約束のパーティーの時間が迫っていた。 迷った末に手荒な手段で車を得た彼は、なんとか時間までにパーティーに到着する。 パーティーで一行と楽しくやっていた園田だったが、急な電話で席を外した剛から告げられた言葉が、彼を絶望の淵に追いこむのだった・・・ 園田を襲うさらなる悲劇とは何か? 蒼い青春・園田特集第二話‼
昭和二十一年三月、太平洋戦争終戦後の旧日本軍軍事施設の解体・無力化を進めていたアメリカ進駐軍は、ある重要情報を得て、五島列島の北の孤島・阿曽島にある旧帝国陸軍の隠された施設に向かった。古くは倭寇・松浦党の海賊としての拠点であった阿曽島は別名「邪宗島」と呼ばれ、今なお、その狗神(いぬがみ)信仰や密教と融合して特殊化した土俗的な信仰を「隠れキリシタン」であった時代から続けている人々の島であった。米軍通訳として島に渡った、元軍属で代議士秘書の南部修平が見たものは、キリシタンの聖女達を標的とした連続殺人と、ある未秘の意図を持って占領軍を翻弄するキリシタン達の姿だった・・・。
震災でメルトダウンした原子力発電所の収束のため駆り出された自衛隊特殊部隊隊員が被曝した。復帰しない部下の動向を探った上官は、秘密裏に人体実験まがいに生かされている事実を突き止め、国の権力中枢の陰謀に辿り着く。部下の復讐と陰謀の暴露の為、近接戦闘のスペシャリストである上官は再稼働された原子力発電所を単独で占拠する。秘密部隊として海外紛争地域で実戦を潜り抜けて来た上官は、警察機構のテロ対策部隊をことごとく退ける。政府は再び秘密裏に処理しようと、秘密部隊の同僚である戦略と狙撃のスペシャリスト二人に上官の排除を命じる。冷却機関に爆弾を仕掛け籠城し、テロリストとなったかつての戦友に、命を受けた二人が立ちはだかる。
大庭加奈子はフェリーの中に居ることに気がついた。やがてその河が三途の川と呼ばれることを、乗り合わせた柚木という男から教えられる。到着した港はヨミランドの直轄管理地区で、バスに乗ってヨミランド入り口のゲートをくぐりさえすれば幸せな生活が保障されている本国に入ることができる。もし前世に強い恨みを残してきたなら、この直轄区に心霊アカデミーという専門学校があって、入学してライセンスを取りさえすれば復讐も可能だと柚木が情報を得てきた。加奈子は前世、羽鳥という男に騙され死に追いやられた恨みが深く復讐しようと決意する。柚木は先に死んだ妻が本国で待っていると加奈子と別れ、バスに乗り込んだ。心霊アカデミーに入学した加奈子は、教官である女性、サダコと知り合う。サダコは柚木の妻だった。一度本国に入れば二度と戻れない直轄区。サダコは諦めかけたがそのときニュースで、土砂崩れのためバス路線が寸断されていることを報じ
孤児院で出会った僕と君。 君はどうして泣いていたの? 君はどうして死んでしまったの? 君と過ごした日々を振り返る。僕の思い出の物語。
雨が降り続く石畳の町。パン屋を営む「私」は、雄牛の頭蓋骨を被った子供を目撃する。それは失踪した息子と瓜二つの姿だった。 (25,164文字のお話です。全4章だての第1章)
12月25日、その日俺はクリスマスだってのに最悪の一日を迎えた。▼罪と欲望に支配された街、テン・シティ。そこを仕切るのはご存知この街の裏路地まで名を馳せる大悪党、ロバート・テン。早朝俺の探偵事務所に上がり込んできた時には息の根を止められると思ったが、奴は依頼人として俺の前に現れた、しかし外は犬共に張られてるようだ。本当に面倒な事になった…。
事故により娘・博子が白血病に犯されていることを、これを外部に漏らしてはいけないと上司・小野寺から言われた五郎は、葛藤の狭間にあった。 博子に白血病の症状が現れ始める中、刑事の園田が事故による被害について、何かを嗅ぎつけようと五郎に接近し始める。 その上、博子と歩いていた剛が不良と喧嘩になり、たまたま居合わせた園田も巻き込んで大騒動に展開してしまう。 そんな中、突如五郎達の前に家政婦を名乗る一人の女性が現れ、家に住み込み始める。 それは、博子こそは知らなかったが、彼女を産んで姿をくらましてしまった、博子の母親だったのだ。 不治の病、初恋に続く激動を描く三話!
令状片手に乗り込んだ園田と新米・渡辺が見たものは、無残にも切り刻まれた素子の生首だった。 やがて捜査中の剛から田辺みなの死体が見つかった事を知らされる。 それは同時に、素子がシロであることをハッキリと裏付けるものだった。 しかしどうしてもその考えを捨てられない園田は、一人素子とその周辺を洗い続け、やがて捜査からはずされてしまう。 そんな彼に近づいてきたのは、園田を警視庁に異動させようとする警視庁警務部人事第二課の木村茂則だった。 彼は前々から園田に声を掛けてきていたのだ。 異動を断固として断る園田に、木村は園田が捜査から外されたことを指摘し、君は横須賀署にとって必要のない人間なのだと言う・・・ 彼の弱みに付け込み、園田を誘う甘い罠・・・ どうなる、園田?