1997年。父の仕事の都合で新潟から福島の小学校への転校した一哉は信濃川の桜を懐かしみ、転校先の学校でできた友達に教えられた松川の桜の下で一人の少女と出会う。 プルシアンブルーのワンピースを着た、高潔な美を纏う少女に少年は恋を覚える。
惨めだと泣きたくない。現実を認められない。けれど、見つめなければ、死ぬしかない。死ぬしかないのなら、せめて愛しい人を想いながら。 「私は、惨めですか?」 泣きたい訳じゃないのに、声は震える。どうしてか。どうしても。
僕は君を探し続けている。 空間も時間もない世界。 「稜君、寂しかった。やっと逢えた。」 「美和子かい。君を感じられる。君の声が僕の胸で響いている」 「美和子は菜摘なのかい」 「ここは、何処なのだろう。君はいつからいるのかい?」 「分からないわ。でも、あなたをずっと感じていた。幸せだったよ」 「もうすぐゼロの時間が消えるのよ。愛が、時間を創るの」