大学受験を控えた愛子は、亡くなった祖父の言葉を切っ掛けに将来について考え始める。 過去の自分、両親、友人を通して大人になるとはどういうことかを考えるのであった。
この小説は『宗教上の理由』シリーズのひとつとして、一話完結で木花村の愉快な仲間たちを描きます。木花村にもスキーシーズンが到来し、スキー大好きな真耶たちは大喜び。でも天狼神社を守る真耶と花耶には毎年すべき神事があり、今年はさらにある依頼が舞い込んだのだった。冬季オリンピック直前にウインタースポーツのお話をひとつ。
男子高校一年生の真野賢十は事情があって古びた木造アパートに一人暮らしをしている。ある夜、悪友との違法ドライブから帰宅した彼の家には変わった侵入者がいて……。雪が降り注ぐ極寒の最中でもかまくらのように温かい場所を、との思いを込めた物語です。
看護師の芽衣は、職場でふとしたことから見舞い客の祐一と知り合い、付き合い始める。 祐一と芽衣は、それぞれの思いをシンクロさせながら、やがて良い関係を作りあげる。 そして、春の公園で、芽衣と過ごす祐一は・・・
舞台は日本のK地方にある立原市。この地には千年前に大陸から渡来してきた凛の民の末裔が多く住む。彼らは閉鎖的で選民思想が強く、差別の対象となっていた。物語は彼らの日本からの独立運動を軸に進んでゆく。 主な登場人物は高校二年生の大木健介と龍前加奈子、女性で凛の民の皇帝である凛の君、そして大陸から独立支援に派遣された軍人の楊。 大人の我欲に巻き込まれた子供達の物語。彼らは何を思い、何を得てゆくのか? 二週間という時間を通し、成長する彼らの姿を書いた作品。
高校生活一年三ヶ月。二年ダブリの斎藤健次郎はクラスメートで担任教師の超お気に入り大西光から突然声を掛けられた。俺の唇買わないか。何故かそうなってしまったかさっぱり分からない健次郎を主人公に話が始まる
人員不足の手品部を救うかの様に現れた「彼女」と部長の「私」が織り成す青春ミステリー。 大人しそうな見た目と打って変わり「彼女」の技に惚れた「私」ある日「彼女」とある約束をする。冒頭はその描写であり本編はそこまでの一ヶ月間の冒頭を描いています。
幼い頃に母を亡くし、静かに高校生活を送る桐沢鏡夜(きりさわきょうや)は、ある日図書室で涼音(すずね)という少女の幽霊と出会う。 永らく現世に留まる涼音を成仏させようと鏡夜は動き出すが、彼を待ち構えるように醜悪な悪霊達が現れる。 歪んでいく日常の中、果たして鏡夜は彼女を無事に成仏させる事は出来るのか。
太陽が沈み始めて薄暗くなってきた公園に真っ白な雪が降る中、俺は公園にある唯一の遊具であるブランコに腰を落とした。 「はぁ……」 なんでこんなことになってしまったんだろう。俺の人生はどこで間違ってしまったのか。 自販機で買った120円のホットコーヒーを開けると、コーヒー独特のほろ苦い香りが俺を包んだ。 「甘い……」 ブランコの冷たさとコーヒーの暖かさが俺の体の中でぶつかり合う。 「失敗は生まれたことかな」 うなだれると当然だが、地面が見えた。砂の大地にポツポツと俺の目から流れる水滴が落ちて、円形の模様が出来た。 「うっ、うぐっ…」 大声で泣き叫びたい衝動にかられる。俺は手を噛んで、鳴き声を漏らさないようにした。