マイペースで年相応に見えない幼なじみ、加賀爪かすみ。 高三の夏休み。受験を控えたマイペースな彼女と振り回される俺の日常。 あの夏、俺は彼女と過ごせた時間を無駄に消費していた。 キーワード 病気/恋愛/青春/吹奏楽/受験/ほのぼの/無邪気/一人称/ラノベ
純白の白である私と、漆黒の黒のあなた。 私たちは決して交わってはいけない関係。灰色にはなれない関係。 心を閉ざし、口も閉ざしてしまった少女と、黒い闇を持った優しい男の純愛です。
熱帯夜。エアコンも明かりもつけずに暗い部屋に横になっていると、ベランダにある訪問者が現れる。 モリ君と名乗る、巨大なコウモリだった。なんとも礼儀正しく腰がやわらかいモリ君は、横になってるりょう君を夜の飛行に誘う。 ぎらぎらした繁華街の明かり。夜に生きるようになっているコウモリ君にとって、昼のようなネオンの明かりはつらいということ。 りょう君は森に行くことを提案したが、モリ君はその森から来ていた。かつての森と違い荒れ果てた森は、食料もなくただの闇へと化していた。だからやむなく街に降りてきたのだと。しかし、それらを一切責めず自分たちの判断だというモリ君。 そして、自分たちが昼の明るさが怖いのは、暗さばかりをみているからだと。その逆も当てはまり、明るさ・暗さどっちかばかりを求める者にとって、その反対のものには恐怖を覚えると。だからたまには逆さになるといいと伝えて去っていく。
長瀬が作家になりたいと思ったのは、中学二年の時だった。たまたま見ていたテレビで、流行作家の谷川新之介の自宅訪問をやっていた。都内の一等地に豪邸を構えている割には、本人はボサボサの髪に無精髭、ヨレヨレの和服をだらしなく着た、冴えない中年…
彼は物書きをしている。 僕の体は削られて、紙君の上にすらーっと並んでいく。いろんな発見で驚きっぱなしだった。 僕はシャーシンと呼ばれて、いつも一緒の紙君とのつながりが何かしらあると感じている。それを確かめたくて仕方がなかった。 えんぴつ君や墨さんのことで、僕はそのつながりが何かを少しだけわかってきた。 なかなか聞けずにいた紙君に、直接それを聞くチャンスがきた。すると、紙君は親切に答えてくれた。 そして、シャーシンの僕は、彼とのつながりもあるとしっかり感じていた。
明るさが君を傷つけたとして、僕はそれを恨むだろうか。暗さが君を引っこ抜いたとして恨むだろうか。 なんで隣にいて、何もできなかったか後悔するのだろうか。恨みもするし、後悔もする。 しかしその起伏を起こさせる物事は、常に規則正しく世界を回っている。 メビウスの輪のような世界に、いつの間にか誘われ入り込んでしまっている。 僕は、色んな葛藤をしていく。陰陽は常に、悠然とただ回っている。 見るたびに僕は思い起こすことになるけれど、いつか忘れて見ることという行動だけが、残る。 そしてなんて綺麗なんだと思うだろう。その両極があってこその世界なんだ。 そしてまた同じことを繰り返していく。それもまた綺麗なことだ。
思いもかけないで半身不随になった若い啓子と、「認知症」と陰でささやかれる横溝老人と、西域シルクロードへ二人旅行を。夢はふくらむ ...... 〔完結〕 有女同車 の標題で掲載中のサイトあり
【聖ベルサレム学園】 通称『ベル学』 広大な敷地を有するここは全寮制でミンション系の学園。 この学園は去年まで別の名で呼ばれていた。 【聖ベルサレム〝女学園〟】 そう、去年までこの学校は女子高だったのだ。 『ベル学』の生徒数は約一二〇〇人。 内、男子生徒の数はたったの……四人。 そんな学校に理不尽な親のせいで無理矢理転入させられた一人の男子生徒がいた。 彼の名は【八園寺 統志朗《はちおんじ とうしろう》】 彼には一つ、どうしても苦手はものがあった。 それは『オンナ』 過去の経験により、『オンナ』を嫌い、『オンナ』を避けて生きてきた。 そんな彼が去年まで女子高で、しかも男がたったの四人しかいない学校でどうやって生きていくのか。 そして彼の『オンナ嫌い』の行方は……。
松林にいる僕はありんこを眺めている。ありんこは自分の体の倍以上もある荷物を忙しなく運んでいる。 自分の指人形でもすぐの距離を、せかせかと休むことなく運んでいく。 手を地面に当てると、周りのぬるい空気とは異なりひんやりとする。松葉が落ちて地面にも刺さる。松葉の絨毯。 地面からあげた手を見つめると、砂がついている。 けれどすぐに乾き、風に吹かれるまま手の上で砂は踊りだす。 皺のないところについていた砂だったけれど、砂はあっという間に皺の線に沿っていた。砂でさえも、既存の線に沿うのかと、僕は手を握り締める。 そのころにはありんこは見当たらなくなっていた。