黒猫何処からかが現れて 「お前に少しだけ夢を見させてやる」 と、言うと不思議な想い出がよみがえる。
大学2年の夏、葵と蓮の恋は始まった。卒業したら一緒に住もう。卒業後、約束通り同居生活がスタートしたが、楽しい日々は続かなかった。長く一緒にいればどのカップルにも怒る些細なことでの喧嘩。それが原因で別れてしまう。お互い時間が解決してくれると思ったが忘れられず、葵はその気持ちを伝えることにしたのだが…。
俺は捨て猫だった。ある日、女の子に拾われ家族になった。それから、女の子とともに幸せな日常を送るようになった。そして、桜が舞い散る頃、女の子が事故に巻き込まれそうになって、俺はそれまでの感謝を込めて身を挺して身代わりになっていった。
老いてしまった「私」と若き隣人の「彼」。昔は「彼」のようにもっと充実した生活を送っていた筈なのに、いったい何が違うというのだろうか