玄関に兎が立っていた。 二本の脚で立っている。 靴も履かず、背後にあるドアに施されたすりガラスから透きとおった夕日に静かにあてられている。 全身に白くふさふさとした毛をまとい、真っ赤なベストを着て、三つの大きな金色のボタンを前でとめている。首からは鈍く金色に光る、円盤のようなものをつり下げている。
これは養殖されるエルフと、人間の物語。 レイ・フリークスは困窮した村を救うため、エルフの密猟をしていた。 天然物のエルフの肉は美味で高くうれるのだ。 ある日、森で2匹のエルフを狩り、しばし休憩していると、親を探す一匹のエルフの少女と出会った。 レイは、そこで先程狩った2匹のエルフが、この子の親だということに気づく。 「親を探して欲しいの」 そうだ、こいつは生きたまま売ろう。 二人は街へと向かう。 しかしレイは、この時まだ気づいていなかった。この世界のからくりに。