「そんな目で おれをみるな 若かりし喧騒 を背広に刻んだ ……」
「夢想家は 吐くほどによく眠ります みる夢もなかろうに ……」
死神は、黒い眼窩をおれに向けた。筒井康隆作品のオマージュです。
町で羽振りのよかった高木だが、今は寄る年波で、現役から退いている。
「なかなおり をしよう みぎて ひだりて かさね合わせて ……」
「かいても かいても むくわれません 骨身にしみる しわがれた風船が ……」
「すすむ 長い針が 子を追いたてる ……」
「ため息を のみこみつづけて 大人になれば ……」
世界最高精度の時計。その裏側。
キスの日(5月23日)にちなんだ短いお話。多少腹黒くても許される――そんな彼らのお話です。