緑の香りというものがこんなに芳しいのだとシャルと呼ばれた少年、愛実は知った 部屋の窓を開け放つと麗らかな陽気に照らされた庭の草木が輝いている
社長に買われただけの、美しいだけの僕
気付くとは傷付くことだ恋なんて欲を丸めた糖衣錠だ
でも、セックス以外は何も楽しくないの
「お姉さんどうしたんですかー? 具合でも悪いの?」 「私もね、ここで座っていたら猫になれる気がしていたの」
次に会うときは、ただの知り合い。
お兄は何にもできない 俺がいないと駄目なんだ
夏休み、天体観測に行かない? 君の目が見えるうちに一緒に色んなものを見たい
卒業まで待って、なんて漫画みたいに言える大人じゃなくてごめんね
「先生、先生ってボクのこと好きでしょ?」 「なんでそんなこと分かるんだ?」 「分かるよ、だってボク先生のこと好きだもん」
「フラれたよ、昨日」
夫の葬式は静かに雨が降っていた 五十年仕えたメイドと彼を見送る
ストリップショーで観た白い性器は果たして正しかったのだろうか
彼女って呼ばれたい 三人称じゃなくて、大切な人という意味で
プールの底には今もまだ俺の死体が腐敗を続けてる。 あってはならない過ちと向き合う日
胸当ての奥には少女の秘密が隠れてる きっと私は彼女のことを憎からず思っている
――旦那さんに見られて嬉しい? おねえちゃん。
私は椅子に座っていた。マサシさんは慈しむように私の頬に触れようとして、悲しく手を下げた。
俺らを乗せない列車は時速百二十キロメートルで藤の房を揺らし、望の肉片を散らした。 ふわりと、甘く、鉄の匂いがした。
三好アキナはスカートを履いて学校へ通う男子高校生。 ――美しくない僕に生きる価値なんてない。