実の父に身体を売る姉と、実の母に「バケモノ」と呼ばれ監禁される弟。私たち家族は、壊れていた。――よるはひとりでいなきゃいけないの。かみさまがくるから。
国立大学の医学研究所に一通の申立書が届いた。それは産婦人科村上研究室にて人道から外れた実験をしているという密告書だった。――村上室長は天使を創ろうとしている。村上室長を止められるのは私しか、裁けるのは私しかいない。私は村上室長のことを愛しているから……。
「大体、ロープ持って行ったって真琴は縛り方知らんだろ?」 「ううん、僕が縛る方」 「真琴もとんでもないのに惚れちまったな」
緑の香りというものがこんなに芳しいのだとシャルと呼ばれた少年、愛実は知った 部屋の窓を開け放つと麗らかな陽気に照らされた庭の草木が輝いている
「先生、先生ってボクのこと好きでしょ?」 「なんでそんなこと分かるんだ?」 「分かるよ、だってボク先生のこと好きだもん」