俺は捨て猫だった。ある日、女の子に拾われ家族になった。それから、女の子とともに幸せな日常を送るようになった。そして、桜が舞い散る頃、女の子が事故に巻き込まれそうになって、俺はそれまでの感謝を込めて身を挺して身代わりになっていった。
「兄様、貴方をお慕いしています」 明治時代、一人の将校が書いた回顧録紛いの手紙から始まる、二人の人間の複雑な関係の物語。
老いてしまった「私」と若き隣人の「彼」。昔は「彼」のようにもっと充実した生活を送っていた筈なのに、いったい何が違うというのだろうか