自分のことを「影」と呼ぶ霊魂が巫女に語りかけてきた。 巫女はその霊魂が、今の自分がいる土地に縁があることを理解していた。 「影」は当時の記憶を、時に鮮やかに、時におぼろげに、巫女に語るのであった。
内装工の私は仕事仲間のS氏と共に、お互いの住まう大阪と京都から神戸市須磨区の建設現場に来ていた。初日の作業を終え現場近くの宿舎に泊まり二日目の夜明け前、激しい地震に遭遇する。恐怖の時間から解放された二人が目の当たりにしたのは、激震に打ち砕かれた神戸の街の光景であった。その神戸から自宅に戻るまでの苦難の道程。二昼夜の二人の行動を書き記した体験記である。