日本の古典『今昔物語』からの創作童話です。 毎回一話完結です。 芥川龍之介が同物語から「鼻」や「芋粥」という作品を生みだしたように、私も同物語から童話を創作してみました。
いつかの時代。オレンジ色の屋根が立ち並ぶどこかの町で、時々屋根には青いインクのしみがつくんだって。町の人たちは「ありゃあ、天使さまが歩きなさったんだ」っていうんだ。屋根の上には天使さまがいて、天使さまが歩くとその足跡が青いしみになって残るんだって。 出稼ぎにその町で働き始めた九歳の少年、東洋人の末裔のリュウリの目は不思議。その不思議な目でリュウリは天使さまを見つけてしまったんだ。刷毛みたいな翼の先っぽから、青いインクをぼたぼた垂らしながら、何の気にも留めずのんびり屋根伝いに歩く天使を。 ――これは、翼から空色のペンキを零し続ける天使の少年と、色覚異常を持つ煙突掃除の少年の、三年間の思い出。