もしもロック青年が桃太郎だったら
桃色の夢を観た。
笑っちまうよな。
毎日ロックという麻薬を体に流し込んでいるこのオレが、
甘ったるいアイスクリームのような、
夢みる少女のような、
暇潰しに浸かって、死ぬのをただ只管待っているジジイババアのような
夢を見ちまうなんて、笑えるぜ。
はは
夢に天使が出てきた。
天使は言う。
「犬、猿、雉の三匹を引き連れ、鬼をぶっ殺せ」
おっとダメだぜお嬢ちゃん、そんなきたねぇドブ川みてぇな言葉を吐いちゃ
きたねぇ言葉が美しく響くのは音楽だけだ。
それにしても君は美しい顔をしている。
天使というのは皆こうなのかい?
おいおい、本当の事だぜ?
嘘をつくのは嘘をつく時だけだ。
オレは美しい顔は好きだぜ、
美しい顔は壊したくなっちまう。
怖いって?
はは、じょーだん。
今まで、オレはたくさんの女の顔を壊してきた。
本当だ、信じてくれ、
オレは女の為ならなんだってできるんだぜ?
創るのは苦手だが、壊すのはお得意なんだ。壊れるのはもっと得意だぜ。
壊れた女は悲しい顔をする。
悲しい顔でオレにこう言うんだ。
「どうしてくれるの?こんな顔になったじゃない、もう誰も私を愛してくれないわ」
オレは言う。
「誰も愛してくれなくても、オレはお前をこの手で愛す、大丈夫さ」
オレは大地に転がる芝刈り機で天使の顔面を愛撫する。
そしてオレと天使は一生、愛について語り合いました。
MEIDEN to SHE,MEIDEN to SHE‥ ‥
はは、ちげーか。
夢が醒める寸前、お前はたしかこう言ったな。
「鬼が棲むのは下北沢だ、小田急線を使いなさい」
分かった。
壊れた女の言う事は絶対だ。
待ってろ。
オレが鬼の頭をショットガンでぶち抜いてやるぜ。
布団を畳み、
オレは高円寺のアパートを出た。
職務質問を受けたので家に帰った。
オレは爆音でNirvanaを流す。
天使はオレに言う。
「嘘つき‥」
もしもロック青年が桃太郎だったら