雅月

小説を書くのって難しいですね。ましてや人様に面白いと思ってもらえるような小説は。駄文ならいくらでも書けるんですけど。
 僕はずっと読書なんてしてきませんでした。部屋で本を読むより外を走り回ったりゲームしたりしてる方が面白かったんです。要するに何も考えずに毎日ただ生きていたんですね、本当に楽しい時期でした。
 高校2年生の時、本屋に入って漫画コーナーに行く途中、ふと海辺のカフカが目に入ったんです。「なんだか頭が良さそうな本だな、ちょっとめくってみるか」と思い、まぁペラペラとページをめくっていたんですが、これが結構面白かった。これならひょっとして全部読めるんじゃないかと思い、進撃の巨人と一緒にレジに持って行きました。それが全ての始まりです。 
 読了後、海辺のカフカはしばらく僕の日常生活に支障をきたしました。その時ちょうど「何も考えずに生きる」わけにも行かなくなった時期で、心に穴というか不安というか、とにかく負の何かが蜂の巣みたいに集まったところがあったんです。海辺のカフカはその蜂の巣を突っついてくれた。蜂の巣は今でも僕の心の中に存在してるし、全然駆除できていないけど、あれ以降心の中に巨大な蜂の巣があるにも関わらず、その蜂に刺されたことはありません。
 僕の友人が上手いこと言ってました「小説は感情の教科書なんだ」って。何かに対して必ずこう感じなさいって意味じゃないですよ?そうじゃなくて、小説の主人公になった気分でいろんな不思議なことを体験してみてほしいです。小説って、面白いですし生きる指標になりますから。

ダイナマイト

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夜行、朝日の物語

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