チョコレートにはほろ苦い物語がある。ある島で戦争が勃発した。戦争に巻き込まれた島民たちは、たくさん死んだ。兵士も死んだ。でも、いいこともあった。死んだ兵士を身ぐるみ剥がせば、金になった。それにチョコレート。チョコレートは甘い。チョコレートはおいしい。チョコレートは楽しい。そして、ちょっと切ない。
賭けには負けてしまった。金は1円もない。僕はあるばあさんの杖代わりになることで金を得ようとする。しかし、金は海の中なのだ。飛び込もうか、否か。まもなく追っ手がやってくる。人生は選択の連続だ。僕は決断を求められていた。
店にはシーラさんがいた。シーラカンスのシーラさん。風俗店で働く私が出会った整形をしすぎて顔がつぎはぎだらけの不思議なシーラさんとの物語。シーラさんの声に耳を傾けると、私は遠く航海に出たような気持ちになる、、。
街にはことり箱があった。ことり箱はピーチクパーチク騒がしい。だけど、街のみんなはことり箱を愛している。ことり箱があってのこの街だから、ことり箱あっての僕らだから。僕らは共に目覚め、共に出かけ、共に眠る。幸せは小鳥たちが運んできてくれる。大量の雨と共に。
少年はシャツの襟に縫い付けられた象の刺繍が気に入っていた。彼は象と始終一緒にいた。実際に存在を知らない少年と象だが、彼らは深い友情で結ばれていた。しかし、別れの時は近づいていた。少年はその日が来ることに少しだけ気づいていた。
僕は毎日、宿題を忘れてしまう。でも、それには理由がある。悲しみを抱えた父、イモ虫とカエル、それは蟻の行列のようにくねくねとして一列に繋がっている長い物語なのだ。
ジャンケンをすれば負けることもあるよ。でも、私は負けたくないのよ。男女のジャンケンはある種の駆け引き。どちらが主導権を握るか、彼らは互いを牽制し合う。
ママは死者が乗る列車をホームで待ち続けていた。ホームは果てしなく長く、その果ては闇の中に消えていた。ホームには一台の電話が設置されている。それは下界の自殺志願者と繋がる電話。電話が鳴った。ママは自殺志願者に、死を選択させることも、生きることを説得することもできるのだった。