マツダシバコ

渡り鳥

島の子供たちにはそれぞれ役割があった。教会の鐘を磨く者。お年寄りの話しに耳を傾ける者。安眠のために枕をひっくり返す者。欠かせないみんな大事な役割だった。ある日、ジムは誕生と同時に死を目の当たりにする。幼いジムは、一人で抱えきれない気持ちを胸に、答えを探して島を歩き回る。

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カタナ

彼は殺し屋だった。彼の殺し方は潔かった。正面から胸をナイフで一突き。不意をつかれた相手は見開いた目でじっと彼を見る。彼はそのすがりつくような瞳が好きなのだ。

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架空の動物

「架空の猫を飼っているの」彼女は言った。僕らはピクニックパーティで出会い、恋人同士になって、トントン拍子で一緒に住むことになった。引っ越し先の壁の穴に僕は小さな可愛い動物が住み着いているのを見つける。でも、彼女には見えないようだ。「悪いけど、見えないものは見えないのよ。あなたに私の猫が見えないようにね」一緒に住みはじめて以来、彼女はどんどん不機嫌になっていく。架空の猫、本物の猫、架空の猫が産んだ子猫、、、そして、架空の動物、、。同じ空間にいて同じ時間を過ごしながら、全く違う世界を見ている。結婚とはそういうものなのだろう。

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さみしがり屋のヒョウ

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婚前離婚

結婚式まであと一ヶ月という時に、突然彼女から結婚中止の申し出があった。理由は不明。でも、仕方がない。彼女にはもう結婚の意思がないのだから。時は未来。もう誰も働かなくても、生きていくのに十分な資産と食料を与えられる時代。最も価値あるものは、生身の人肉。僕はそれを彼女に差し出す覚悟もできていたのに。

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空のように、海のように

ルタは絵を描く名人だ。彼の絵は自由すぎていつも枠からはみ出ている。絵を描き終えると、ルタはおばのルブの家に絵を持っていく。画家の叔母はルタの絵を喜んで受け取る。彼女の家の壁はルタの絵で埋め尽くされている。ルタは双子の姉のケブの息子だ。でも、本当は叔母であるルブの子供なのだ。ルブはルタにそのことを打ち明けようか悩んでいる。青い絵の具を塗りたくりながら、小さな天才画家ルタは言う。何を描いているかって?空だって、海だって、そんなことはどうだっていいんだよ。

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ピラミッド

僕らは3週間の新婚旅行を計画していた。旅行から1週間目で妻は不機嫌となり、僕と口を効かなくなった。ストレスにより僕の痔は疼く。彼女はドアを開いてくれない。夫婦とは、、尻の間の激痛に耐えながら、僕はピラミッドを登りつめる。

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私たち

アキと話をしたのは、お店の女の子が死んでしまったからだった。私たちはとてもよく似ていた。私たちは急速に仲良くなった。そして花火のように、あっという間に楽しい時間は終わった。都会の中で小枝にしがみついて生きる、孤独な女の子たちの切ない短編小説。

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赤い花

赤い花は私のくちびる。鏡に映る僕は彼女。私は鏡の中に棲む彼の恋人。週末のお楽しみは、連れ立ってパーティに行くこと。誰もが言う。私たちはお似合いのカップルだと。女装癖に心を奪われた男の失恋。

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妻の浮気を知ってから僕の皮膚炎は悪化した。会社はクビになった。僕は皮膚を掻きむしった。ある日、腕にかさぶたができているのを見つけた。かさぶたの下には穴があった。そして穴を覗くと妻の浮気の現場が覗けるのだった。

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