加賀谷樹里

君の声は僕の声  第四章 5 ─王都─

ここは自分の生まれた国なのか、異国なのかよくわからない。けたたましい音に交じり、美味しそうな食べ物の匂いから、鼻につく香辛料の匂い、そして馬の糞の匂いまでが入り混じり、独特の匂いが漂っていた。

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君の声は僕の声  第四章 6 ─客人─

この研究を続けることは、もう僕たちだけの個人的な問題ではないんです。政府同士が絡んでくれば、僕たちの手の及ばない領域まで広がってしまうかもしれない ──聡、これから話すことは国家にも知らされていない最高機密だ

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君の声は僕の声  第四章 7 ─機密─

この国の資源を狙っている諸外国にまでこんな情勢を知られたら、それこそいいようにされてしまう。最悪、この国は亡くなり、植民地や属国にされてしまうかもしれない

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君の声は僕の声  第四章 8 ─謁見─

微かに甘い香りが鼻にぬけた。大きく開かれた窓の向こうでハスの花が風に揺れている。一枚の絵のような風景が聡の心を少しだけやわらげてくれた

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君の声は僕の声  第四章 9 ─想い出─

池の水面に吹く風が、少女の髪から微かな伽羅の香りを運ぶ。口ぶりはこましゃくれているが、指先まで神経の行き届いた仕草から、それなりの躾を受けた良家の子女であることがうかがわれた

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君の声は僕の声  第四章 11 ─決意─

蓮の花が美しく咲き誇るこの庭を眺めながら、皇太后はいくつもの夏を過ごしていたのだ。淡い鴇色の花の中に、一輪だけ白い蓮が咲いていた。聡は階段を降りて、そっと白い蓮の花に触れた ──第一部 完──

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君の声は僕の声  第四章 10 ─夕日─

夕日に輝く瑠璃瓦が見えてきた。いつになく眩しく感じるのは、夕日が美しいからなのか、それとも夕日と別れを惜しむ瑠璃の瓦の寂寥感なのか、紅蘭は目を細めて少しずつ近づいてくるお城の瑠璃瓦を眺めた。

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君の声は僕の声  第二部 ─序章─

砂を伝って、炎は徐々に大きくなっていく。 あっという間に炎は天井にまで燃え広がり、少年たちの走ってきた通路を、まるで巨大な蛇が荒れ狂うように這っていった。熱い風が少年の頬に吹きつける。炎を見つめる琥珀色の瞳が ──赤く光った

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君の声は僕の声  第五章 1 ─冒険の始まり─

他にもこの国の資源を狙っている国がある。載秦国は今のところ何ともないが、近隣の小さな国は、その資源を求めてやってきた奴らに、次々と植民地にされている──

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君の声は僕の声  第五章 2 ─新しい同居人─

誰も自分を杏樹とは別の人間なのだと、解ってくれる奴などいなかった。誰も自分を『陽大』と認める人間などいなかった。かたくなに他人の侵入を拒み、みんなで築いてきた心の壁が崩れていく気がした。

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