海登啓弘

へーちゃん~あたたかな みなみの島で~ 

沖縄本島の北部にある島風(しまかじ)は、とても穏やかで自由な宿。目の前には名護のきれいな海。宿のオーナーのイラブさんは夜の宴会の時にしか姿を見せず、宿の管理はへーちゃんとクミちゃんにまかせっきり。お客さんのおもてなしはクミちゃんの仕事。口数が極端に少ないへーちゃんは縁の下の力持ち。いつもニコニコ笑いながらクミちゃんをサポートしていた。 そういう宿だから、お客さんも思いきりノビノビ。海を眺めながらハンモックに揺られ、オリオンビールをグビグビ。BGMはゆったりとしたリズムのルーツロックレゲエ。だけど、決して享楽的な空気にならないのは、他人への気配りを忘れない“イラブイズム”が浸透しているから。 そんな穏やかでやさしい場所にある日、突然、嵐が吹き荒れる。深刻な事態を黙って見守るへーちゃん。クミちゃんは必死の抵抗を試みるのだが……。

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