彼女の街

彼女の街

短編集あとがきとして、あるいは次回作の構想として

僕ァね
      と、あの少女が呟いた。もうだれもいないが。

僕ァ、いつかこの街に圧倒的に美しいものを携えて戻ってきたい。
 
でもきっと、それは昼間じゃダメだ。 
だって、キミ達は僕に石を投げるだろ?
肩甲骨に力を込めて、あたう限り全力で。
そしたら僕の皮膚は所々破れてしまうかもしれないし、
あるいは

だから、僕はまだ街がひっそりとしている夜のうちに戻ってきて、
一晩の間に街中の、その全ての曲がり角に銅像を建てよう。

そして、夜が明けて、それでも空の色彩がまだ様々に混在しているうちに、かえろうか。
 
どこへ?
      さあ……。
 
まぁとにかく、街の曲がり角には銅像が残る。
本当にたくさんの、色々な銅像だ。
キミ達は、
僕のことを馬鹿にし続け、見向きもしなかったキミ達は、
その美しいことに対して目を見開き、呆然と
口も利けなくなればいい。
 
                  なんてね。
 そして彼女は笑った。笑った。
 
                           Fin.

彼女の街

明日が誕生日なので、今後の意気込み、姿勢のようなものとして書きました。
普段は普通の小説を中心に書いています。

彼女の街

街中の曲がり角に銅像が建っている街で。本当に短い作品です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-04

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