彼女の街
短編集あとがきとして、あるいは次回作の構想として
僕ァね
と、あの少女が呟いた。もうだれもいないが。
僕ァ、いつかこの街に圧倒的に美しいものを携えて戻ってきたい。
でもきっと、それは昼間じゃダメだ。
だって、キミ達は僕に石を投げるだろ?
肩甲骨に力を込めて、あたう限り全力で。
そしたら僕の皮膚は所々破れてしまうかもしれないし、
あるいは
だから、僕はまだ街がひっそりとしている夜のうちに戻ってきて、
一晩の間に街中の、その全ての曲がり角に銅像を建てよう。
そして、夜が明けて、それでも空の色彩がまだ様々に混在しているうちに、かえろうか。
どこへ?
さあ……。
まぁとにかく、街の曲がり角には銅像が残る。
本当にたくさんの、色々な銅像だ。
キミ達は、
僕のことを馬鹿にし続け、見向きもしなかったキミ達は、
その美しいことに対して目を見開き、呆然と
口も利けなくなればいい。
なんてね。
そして彼女は笑った。笑った。
Fin.
彼女の街
明日が誕生日なので、今後の意気込み、姿勢のようなものとして書きました。
普段は普通の小説を中心に書いています。