既読の詩

林やは

埋められました、わたしの死体を。それをわたしが掘りおこすことは、できないのに、残酷に感じることはないみたいで、わたしこそが愚かなんだ、ここでは。死んでしまうまで、生きていてもいいこと、純情はいつまでもおわらないこと、あなたがいつか、そこにいたということ、すべて、より、いのちより、いとおしいものが、ある。だから、夜に詩を産みます。けれど、夜には好かれないな。(おやすみなさい。)

胸があって、やわらかいから、わたしはだれかを抱きたくなるのだ、と、悟った深夜ほど、ひとりで生きていることに、誇りを感じるときはない。わたしは、ひとりぼっちではないけれど、ちゃんと、ひとりのひとだから、ことばを、おもいを、はせていられる。ありがたいとおもう、でも、だからこそ、わたしの体のやわらかさが、やさしさではないと、あなたは教えてくれている。
あなたがほしい。あなたがいない夜にはいつもそう、おもい、けれどあなたが何を感じているのかなんて、しらなくていい。そしてあなたもそうで、かんたんにやっては来ないことが正しくて、わたしたち、似ているね、なんて、そういう、おもいは、ことばにしないから、ないもののとおなじだよ、わたしたちのここでは、ないものとおなじなんだ、いつまでも続きはしない、ここでは。

ことばなんて、感情を越えてゆくことはなくて、波のようにゆれる、心臓から、他の臓器までも、ゆらして、肉体とか、それをひとと擦りあわせることのほうが、よっぽど精神的だと感じた。あなたがいないそこで、あなたはわたしの死体を埋めて、わたし、わたしに恋をするしかなかったよ。(おはよう。)

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