氷河期の詩
結晶は、すこし、こわかった。
つめたい、水に触れるたびに、たぶん、そんなときだけ、ぼくは生きていて、きっと、きみも生きているのだと、おもうよ、冬が去ってゆく、いまを、真冬だという人がいる。かじかんだ、ゆびさきから、光線をだせたなら、緩やかな日々が待っている。しかし、心拍数より、血液の流れが、はやい気がして、ぼくたちはいつも、いそいでいるよ。「星を見つめています、月齢を捨ててしまえたら、あの子を愛したかもしれません。星を見つめています、神様のことを考えます。星を見つめています。星を、見つめています。」ぼくらは、夜を越えられないはやさで、いそいでいる。
燃やせ、と、いうことが、正しくはない、ぼくはきみがいなければ、生きてゆけない。均等に、凍らされた結晶は、なくて、とても人みたいだ、なんて人はいう。やっと生きているとおもう、そんなとき、人はたしかに、生きられているよ。
冬のさきに、春があるより、きみはじゅうぶん、燃えている。
氷河期の詩