とある物ノ怪 与太話 【紹介ノ巻】

※※篠塚ひろむ氏の漫画原作のアニメ作品「わがまま☆フェアリー ミルモでポン!」より、アニメオリジナルキャラクター「ワルモ団」を基にパロディ作品群として描いた二次創作作品です。原作設定での作品群ではないため、以下の注意書きを必ず読んでください※※


◇「もしワルモ団が妖怪だったら……」というパラレル作品です。
「アニメではサブキャラでミルモたちにやられてばっかりの悪役な彼らが主人公の何かを書きたい、というか彼ら和風モチーフだし妖怪との親和性高そうだし妖怪にしてわちゃわちゃさせたいな~」というリザリカの欲望から生まれたパロディ及びパラレル、それが『妖怪ワルモ団』です。

◇もちろん公式の会社や作品とは一切関係ありません。あくまでもリザリカの個人的な二次創作です。

◇基本的にリザリカの作った世界観でワルモ団はじめミルポンのキャラが動いたり、本編の進行上の都合で原作には登場しない創作キャラが何人か出てきます。パロディ・パラレル・版権オリキャラなどが苦手な方には閲覧がお勧めできない仕様となっております。

◇また、原作の彼らの性格や人間関係などの公式設定からはかなりずれてます。二次創作パロディなので。むしろ原作の彼らとは別人、パラレルワールドの彼ら、として読んでいただけるといいかもしれません。

◇世界観としては室町時代~江戸時代くらいの日本。妖怪が人間社会に自然と溶け込んでいたくらいの時代ですが、現実の日本とは全く違う架空の世界です。でも文化の雰囲気は現実の江戸時代の日本を参考にしてます。

◇作品のテーマは「妖怪と人間の共存」「絆」「過去と向き合う」。

◇題名の由来は、さらっと考えた題名が偶然にも語感がよかったから。

◇与太話とはでたらめな話、馬鹿な話のこと。そして与太とは「虚言」や「冗談」、「無駄で役に立たないこと」という意味。
 強いて題名の由来を説明すると、人間からしてみたら冗談みたいな存在である妖怪が主人公であること、「このパロディはあくまでイフで冗談だから気にしないで~」みたいな意味合いを込めていること、などなど。
 与太の語源は、江戸時代に語られた落語に登場する「与太郎」という人物だそうです。この与太郎という人物は頭が弱いことで有名なようで、「馬鹿」「役立たず」の代名詞になったことが由来だそうです。


 以上、ここまで読んでいただいて分かるかと思いますが、全く自重していません。注意書きから少しでも嫌な予感がした方はそっとこのページを閉じましょう。
 「何でも来い‼」な心優しいお方はどうぞゆっくりしていってくださいませ。

壱.【鬼】のイチロー

【概要】
 善にも悪にも属さない、中立の立場にいる珍しい【鬼】。その髪と瞳の色ゆえ「赤鬼」と部類される。通り名は<(あやかし)も怯える赤き【鬼】>。「東地方」と呼ばれる土地にぽつんと佇む無人の廃神社を住処にしている。
 人間に危害を加えない中立の妖怪たち、通称「まつろわぬ者」たちの首領的存在。それゆえ人間と妖怪、または妖怪同士のいざこざなどを防止・解決するべく“見回り”と称して近辺を巡回したりする。とはいえ、その行動も使命や責務や義務といった諸々から来るものではなく、完全に本人の意志で行ってる慈善活動のようなもの。
 自由な【鬼】なので、夜な夜な妖怪たちと宴に興じる。青い【猫又】のジロー、緑の【送り狼】のサブロー、四尾の【妖狐】のシロー、山の【鴉天狗】のゴローとは無類の絆でつながっており、家族のような存在。
 噂では元は人間だったのではないかと言われているが、本人は多くを語ろうとしない。

【性格】
 非常に長い時間を生きており、とても博識。噂ではその齢は千年以上と言われているが定かではない。
 冷酷非道、悪辣無比と悪名高い【鬼】でありながらとても心優しく、穏やかで冷静な性格。滅多なことでは動じない肝っ玉の持ち主。理知的ではあるがその心根は熱く、決して冷徹ではない。大抵は酔狂と道楽と人情で行動する変わり者で、普段は呑気で緊張感に欠ける言動が目立つ。妖怪にはとことん世話を焼いて目をかけるが、人間には興味が無いのか滅多に干渉しようとしない。
 酒が大好きで、並大抵の妖怪では敵わない化け物級の上戸だが、酔うと管を巻いて面倒な絡み方をする、らしい。
妖術の腕は古参の妖怪たちも一目置いているほど。呪符や呪文の書かれた巻き物を駆使する他、鬼火や炎を自在に操る。



《解説》

・鋭い角や牙を生やし、虎皮の腰巻を巻いて、金棒を持った恐ろしい姿が有名。
・この姿は中国の思想が元。方位上、北東(丑寅という。いわゆる鬼門)は鬼が出入りする不吉な方角とされ、ここから鬼の定番イメージとして、丑(=牛)のような角、虎皮の腰巻、という姿が定着した。(陰陽道の説。これだけではなく諸説あり)
・大抵の鬼のイメージとしては、地獄で亡者を痛めつける「獄卒」と呼ばれるもの、閻魔大王に従う「閻魔卒」「鬼卒」と呼ばれるものなどが近い。要は、「鬼は人間にとって無慈悲な存在」というイメージはここから来ているものと思われる。
・残酷さが目立つが、中には人間に幸せをもたらすものもいるとかいないとか。
・ちなみに、鬼の語源は「陰(おぬ)」、これは「目に見えないものや霊的なもの」という意味で、鬼は元々そういう存在と考えられていたらしい。

■イチローは人間に関心が無いので凶悪性は薄く、また誰かに仕えてもいない自由気ままな【鬼】。

弐.【猫又】のジロー

【概要】
 イチローと同じ廃神社に棲んでいる猫又。
 生まれつき霊力という不思議な力を宿していたため、子猫の頃に商家の招き猫として飼われ始める。その力で商家を見事大店へと成長させたが、その力のせいで抑圧の多い生活をしていた。ある時、飼い主から暴行され、死にかけていた所をイチローに救われ、イチローの妖術によって【猫又】と為った過去がある。飼い猫だった頃の苦い記憶と経験から、筋金入りの人間嫌い。
 自由になってからは暇人ならぬ暇妖怪なので、イチローや人間の町の猫と談笑したり、人間の書物で勉強したりしている。そのため情報通で、知識量はなかなかのもの。人間事情に詳しく、人間の俗世間に興味を示すこともしばしば。料理もそうして覚えたようで、イチローの食事を作るのはジローの仕事。
 立場としては「まつろわぬ者」だが、神社にいたずら半分でやってくる人間を脅かして追い払う。


【性格】
 イチローと似て冷静沈着な性格。だが、長年の経験で肝っ玉のあるイチローよりは取り乱しやすい。理屈ばっているためかまどろっこしいことはあまり好きではなく、何事も単刀直入を好む。一見するととっつきにくそうだが、実際は心優しく、思いやりに溢れる人柄。
 現実主義的な面もあるが、何だかんだ情に厚いので、困ってる人を放っておけない性分。自分の感情に素直になれない部分がある。


《解説》
・長生きした猫が神格(神としての資格。要は霊的で不思議な力)を得て、妖力を手に入れた妖怪。10歳または100歳以上の猫は化ける、といわれている。
・特徴は二又の尻尾。この尻尾を持つ化け猫を特に「猫又」と言う。
・歳を重ねると、持っている神通力ともいえる力が強まり、やがては人を食らうらしい。
・古くは「猫又の毛は金色(黄色)」と信じられていたことから、別名「金花(華)猫」ともいうらしい。
・化け猫と猫又の区別は曖昧な所もあるが、一つの定義として、「人間に変身するのが化け猫、猫のままなのが猫又」とすることもあるが、一概に言える定義ではない。
・力を強めた猫又は二足歩行したり、尻尾の数が増えたりするともいわれる。
・化け猫は猫又よりも妖怪らしい一面が多い(死体を操る、死んでから祟る、など)。
■ジローは猫又だが、変身能力があり人間(亜人)の姿になれる。あいにく「金花(華)猫」ではなく青毛の猫だが、力はそこそこ。

参.【送り狼】のサブロー

【概要】
 イチローやジローの棲む廃神社、その近くにある原生林の“主”を務める送り狼。
 一頭だけで森を守護しているので、古参の妖怪からは「緑の森の一匹狼」という通称で呼ばれる存在。“主”として森の動物から慕われている。
 一週間飲まず食わずでも平気というタフっぷり。狼なので主食は獣の肉だが、自身の棲み処である森の動物はいわば守るべき者たちなので食料にしない。そのため食事は専ら森の外。狩りは達者だが、食いっぱぐれることもしばしばある。現在はたびたびイチローとジローが差し入れに握り飯を届けてくれる。ちなみに好物も握り飯。肉での好物は猪や鹿。

 立場はイチローやジロー同様「まつろわぬ者」。
 かつては多くの仲間と森を守っていた。ある時、私利私欲の為にやってきた人間たちによって森が襲撃され、仲間を全員殺されたという辛い過去を持つ(この作品群においては、左頬の傷もこの時付いたという設定)。独り生き残って以来、森にやって来る悪しき人間や妖怪を徹底的に排除していた。イチローたちと出会ったことで、目を背け続けていた己の悲しみと向き合い、彼らを頼ることで過去の悲しみから一歩踏み出すことができた。

【性格】
 野性味あふれる、非常に漢らしい性格。
 細かいことは気にしない大らかさと義侠心、主らしい親分肌の持ち主。勇猛果敢で、どんな相手にも物怖じせずに挑むが、時に無鉄砲。喧嘩っ早く気に入らないことにはすぐに突っかかるきらいがある。他人に頼るのは苦手で、何処となく突っ張っているが、基本的には人懐こく友好的。

《解説》
・犬、もしくは山犬(=狼)の妖怪。夜に山道を歩いていると一定距離を保って付いてくる妖怪で、害意は無いとされている。
・むしろ山猫や狐狸など、様々な悪意から道行く人間を守ってくれる、山神の使いらしい。
・道中を守ってもらったら、人間はお礼に握り飯と草履(またはわらじ)の片方を送ると良いとされる(資料によっては握り飯がいらないという情報もある)。
・しかし一方で、送り狼は転んでしまった人間は襲うという。これは主人である山神から、「落ちたものは食べていい」と言われているからだという。これから逃れるには、転んでも慌てず、「まずは一服」とか「草履がほどけた」などと言って休むフリをすれば良いらしい。
・送り狼は、どうやら山犬の習性から生じた妖怪らしい。山犬(ここではニホンオオカミ)は縄張りに入った人間を監視する習性があり、これが気味悪がられた結果「送り狼」という妖怪が出来上がった、という考え方もある。
■サブローは山神に仕えているわけではないが、後者の穏やかでない方の送り狼。基本は人間を送り届けるだけだが、悪意ある者には容赦なく襲い掛かることもある。

肆.【妖狐】のシロー

【概要】
 イチロー、ジロー、サブローの棲む地域より南にある、小さな稲荷神社で祭られる【妖狐】。
 尻尾を四つ持っているので、地元の人間からは「四尾のお狐さま」と呼ばれている。一種の農耕神として祀られる存在ではあるが、当の本人は気まぐれでふらふらと神社を抜け出している。
 狐の最たる存在は九尾を持つが、シローはまだ四尾なのであまり強い力は使えない。とはいえ一端の祀られた妖怪のためか、小さな願い(探し物を見つけたいとか)を叶えたり、ある程度の天候や作物の実りを制御することはできる。

 かつてはのんびりした自由な生活に憧れていたらしいが、今は祀られた狐であることに不満は無い(本人談)。妖怪には珍しく人間が好き。だが、それが高じて人間に入れ込みすぎることも。
 歌や音楽を好んでいる。人間には出せない声域の声も出せるので、特殊な唄を歌うことも出来る。
 北の山に棲む【鴉天狗】のゴローとは仲良し。

【性格】
 まだ齢が数百年の若い妖怪であるためか、イチローたちと比べると至らない面がちらほら。
 非常に明るく元気なムードメーカー的存在で、好奇心旺盛かつ無邪気。狐の(さが)か悪戯も好きで、人間に些細な悪戯を仕掛けることもある茶目っ気たっぷりな性格。だが根は真面目で、お狐様としての自覚と責任感もあるしっかり者。お狐様として立派に責務を果たすものの、本当はまだまだ甘えん坊で寂しがり屋。


《解説》
・文字通り、狐の妖怪。中国・日本で色々な伝承、伝説などに登場する。日本では油揚げを好み、油揚げの別名が「狐」というのはここから来ている。
・“妖狐”というと範囲が広く、国家を陥れるような悪の狐「悪狐(あっこ)」と呼ばれる固体もいたという。
・一方で狐は神の使いともされ、「善狐(ぜんこ)」と呼ばれる善い狐もいる。
・中国の伝説などにおいては、狐は「修行を積む」「神・月・太陽の力を受ける」などして妖狐に変わるのだという。
・狐の妖力は尻尾にあるとされ、最初は一本の尻尾も、長い年月が経つと数が増えていき、およそ1000年後には九尾になるのだといわれている。
・千年生きた狐は「天狐」と呼ばれ、神と同じくらいの力を持つとされた。九尾の狐は妖狐の中でも最強と言われる。
・いわゆる「悪狐」で有名なのが「玉藻前(たまものまえ)」という美女に化けた九尾の狐。時の皇帝を色香でたぶらかしたものの、陰陽師・安部清明に退治されたとされる。
■シローは尻尾が四本の四尾狐。一般の【妖狐】よりかは強いが、大きな願いを叶えたり、呪い殺したり、天変地異を起こしたりは出来ない。

伍.【鴉天狗】のゴロー

【概要】
 イチロー、ジロー、サブローの棲む地より北の霊峰、そこの山神に仕える【鴉天狗】。
 天狗といっても、鼻の尖ったあの赤ら顔ではなく、大きな翼を持った山伏姿をしている。山の主である山神の使いだが、まだ半人前で修行中の身なので、立ち位置も「まつろわぬ者」。
 常に天狗の団扇を持っていて、小さな嵐を起こしたり、悪い気を払ったりできる。また、「天狗倒し」「天狗つぶて」「天狗隠し」といった怪異で、山を侵す者を追い払うことも可能。
 他の妖怪たちとの仲は良く、特に【妖狐】のシローとは度々会ったりする。
【性格】
 性格は「天狗」どころか、とても穏和で謙虚。丸く優しい人柄で、いつも温かな微笑みと言動で周りをほっこりと癒す。生来おっちょこちょいで、まだまだ未熟な所が否めず、飛んでいる最中にうっかりバランスを崩して墜落することもしばしば。どこかおとぼけな所があると思いきや、普段はかなりの常識人。頭もかなり切れる聡明な人物。分別もあり大人しいので、個性の強い他の妖怪たちの中ではある意味異質。自分に対して強い劣等感があるせいか、つい頑張りすぎてしまったり、無理をしてしまうことも。

 およそ天狗らしくないその性格は、元々ゴローがごく普通の人間であったという所からきているらしいが、本人は多くを語らない。


《解説》
・言わずと知れた山の妖怪。厳しい赤ら顔、長い鼻、羽の団扇、一本歯の下駄の山伏のような姿が一般的なイメージだろう。これは江戸時代に広まったもので、中世まではくちばしと大きな翼を持った「鴉天狗」がメジャーだったらしい。
・高慢ちきな人を「天狗」と言うが、無論その語源。
 天狗は、自尊心が高い人や奢れた僧侶などの成れの果てとされる所から来ているらしい。
・山の神としても扱われる。山を荒らす者は容赦なく追い払ったり、いわゆる「神隠し」に遭わせるという。(天狗隠しと言ったりもする)
・一方でとても教えたがりな面があり、気に入った相手には守護を授けたり、自分の知識を伝授したりもしたという。
・そのルーツは、中国の「天狗星」という不吉を知らせる流星。音を立てて落ちる流星で、「天狗(あまつきつね)」と呼ばれ不吉の象徴にされてきたのだという。
・ちなみに「天狗(あまつきつね)」の由来は、落ちてくる音が遠吠えに似ていて、「天から狗(いぬ)が降ってくるようだ」とするところらしい。狗「きつね」と読むが、今の狐のことではなく犬に近い。
■ゴローはいわゆる鴉天狗。半人前でまだ未熟なので、大きな力は使えない。妖術は達者。

とある物ノ怪 与太話 【紹介ノ巻】

とある物ノ怪 与太話 【紹介ノ巻】

舞台は、物の怪がまことのものと信じられている世界にある東の島国。そこでは人間と、「妖怪」と呼ばれる種族が同じ時間軸を生きていた。尤も彼らは互いに住む世界を分かち、絶妙な距離感をもって銘々の暮らしを展開していた。 島国の東の地方には、然るべき者たちのいなくなった小さな廃神社がある。 そこには、妖怪であれば誰もが恐れる真紅の【鬼】が住んでいた。この【鬼】には、気の置けない仲間の妖怪が四人いる。【鬼】の傍に長年連れ添う、蒼い毛並みの小さな【猫又】。東地方随一の原生林「緑の森」を守る主、草色の【送り狼】。南地方の農村に祀られた、歌が好きな四尾の【妖狐】。北地方の霊峰の山神に仕える、山神見習いの【鴉天狗】。 そんな五人が遭遇する、どこか奇妙な与太話。 それは各々の記憶を映す追憶の物語か。 はたまた妖怪と人間の因縁を巡る戦いの記録か。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青年向け
更新日
登録日
2020-04-12

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. 壱.【鬼】のイチロー
  2. 弐.【猫又】のジロー
  3. 参.【送り狼】のサブロー
  4. 肆.【妖狐】のシロー
  5. 伍.【鴉天狗】のゴロー