感染症の詩

林やは

なくなってしまうよ、どんなにあなたが美しくても、それはいつか、幻影でしかなくなって、しかしなくなってしまえば、あなたはもっと、美しくなれる、約束されている。万物を、とどめておくことなんて、できないから、波もきっと、そこにしかいられない。わたしはいのちさえあればいい。残忍でも、いのちがもっともたいせつだと、云いたい。ここに、愛する人がいる、はず、だから。

幾千年のときなど、どうでもいいのだということに、きみは気づいて、しかし、それすら、どうでもいいもかもしれない街に誕生してしまったから、わたし、ひとを好きになるしかない。夜からすべてははじまって、朝になれば新しくなる、この体も、精神も、きみも、新しくなるのだけれど、世界のすべてが新しくなるとき、わたし、わたしのなにかがかわった、と云えるのか、しりません。あなたが死んでしまっても、わたしが生きていることに、なにも理由なんてなくて、精神的に夜を越えられなくても、肉体はさきに進み、だから、ゆめから醒めなければいけないね。

くらくらしているのは、あなたでなくて、いのちでもなくて、ひとでもない、神様でもない。だから、生きていることだけが何よりの証拠になり、死んでしまったあのひと、かわいそう、なんて云ってあげないけれど、そういうきもちが、わたし、幻影のままでもいいとおもう。伝染していくのが、愛であるなんて、酷すぎて、ただ、いのちさえあれば、あなた、美しくなれるよ。死んでしまっても美しいままだよ、生きろ。

感染症の詩

感染症の詩

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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