【連載】シルバーエイジの物語 Book 1

万田 竜人(まんだ りゅうじん)

【序】

最近、執筆中のゴールデンエイジの物語 Book 1 において話題は深刻
であったが、背中に翼を背負った女神の登場で、楽観的な雰囲気となって
次の様な会話を交わした。

女神「ところで貴方が詠んだ 『はらわたのにえる思いに寒の水』はやはり
魂(たましい)の叫びであったと?」

小生「ボクにとって、あの俳句は、魂(たましい)のつぶやきだったと考えて
います。ボクにとって幸いだったのは、それを盟友が拾い上げてくれたこと
であり日常的には交流のない方だっただけに感謝しきれません」

女神「その後、貴方にとって、魂(たましい)の叫び的な作品は、登場する
のですか?」

小生「ボクが、この星空文庫に掲載している小説『シルバーエイジの物語』
が、強いていえば、魂(たましい)の叫びであり、ボクは、まだまだ創作意欲
もあるし 『まだ・まだ・やれるよ』 という意思表示でした」

女神「そこに 『転生』 はあった?」

小生「まさに、企業人としての『佐久間』から、一生涯学生作家『万田竜人』
への転生であったと考えています」

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一方で、正統派的な理由としては、本稿のBook 2で書き出そうとしている
定年後のビジネス・コンサルタント時代に、コンサル業務と並行させて放送
大学における卒業研究に取り組んでいる過程おいて・・・

これからの生き方の一つとして、インターネット作家(小説家) 万田竜人と
して、処女作「シルバーエイジの物語」を執筆、一生涯学生作家 としての
道筋を探っても良いのではないかと考えた。

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したがって、一生涯学生作家として、筆を手にしたのも、カオス(混沌)の中
での出来事であり、村上春樹先生のような理路整然とした物語の展開など
はありえないと考えている。

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そのような視点で、かつて記述した処女作を、プロローグの出だしから点検
を兼ねて推敲を重ねてみようと考えた。

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プロローグ

自然環境に囲まれているためか、鳩が飛んできて楢の木でくつろいでいる姿を時々
見かけることがある。この庭には欅や紅葉・楓なども植えてあり四季を通して窓の外
の景色を楽しむことが出来る。

窓は横長に大きく広がっており、木々を眺めながら心に語りかけて来るようなアルパ
の音色を聴いていると、そこに小宇宙が出来上がったような感覚に陥る。

私は、演奏を聴きながら、演奏者と聴き手の間にある微妙な空間の存在が気になり
だした。演奏会場は、小規模ながら天井は高くドーム状になっており、アルパの音色
がやさしく響き渡る。

この会場は通常は喫茶店として運営されており、店主の趣向で、演奏会場や英会話
の交流会の場に早変わりする。

演奏会場への早変わりは 「土曜コンサート」 として、土曜日限定で開催されている。
演奏種目は、楽器演奏によるものが主体であり、バイオリンやギター演奏などが人気
種目であるが、ときには、二胡による演奏なども披露されているという。

私が、土曜コンサートに参加するのは初めてのことである。

この土曜コンサートをプロモートされている野仲先生を取材するには、実際の演奏会
に参加させていただき、臨場感を共有した上でのほうが良いのではないか、と考えて
喫茶店の店主に演奏会参加の申し込みをして、アルパの演奏会に、出席させていた
だいたのであった。

アルパの音色は、大型のハープの音色にも良く似ており、演奏を聴いている自分の
気持ちが、だんだんと、やさしくなって行く過程が自覚できる。演奏の曲目「月下想」
「さくら色のしずく」の後で自己紹介した演奏者倉品真希子さんの声は凛としていて
歯切れも良く歌声は澄んだ声で耳に優しい。

倉品さんはANAインターコンチネンタルホテル東京のラウンジ演奏においてアルパ
の演奏を続け、やがて、この経験の積み重ねの中から、独自のライトミュージックと
いう演奏スタイルを編み出して行き、自らの作詞・作曲につなげていったというだけ
あって、ごく自然に親しみが湧く演奏会であった。

演奏者と聴き手の間の空間は、この歌声に合わせて、オーケストラ演奏の指揮者でも
ある野仲先生が設けた独特の間合いであった。野仲先生は大会場から中・小会場に
いたるまで各種の演奏会のプロモートをこなされており、大きな会場においては、自ら
が指揮棒を振る。

アルパは、素手で持ち歩ける手軽さがあるため、倉品さんのオリジナル企画では全国
の農業地域を廻り 「オーガニック・コンサート」 という呼称で、演奏会を開催している
という。

このコンサートの特徴は、各地で採れた有機無農薬野菜や・果物と、物々交換をする
方法を仕掛けて演奏会に参加する楽しみを盛り上げているという。また演奏会の形態
もアルパのソロ演奏だけでなく、マンドリンとのコラボ演奏やハーモニカとのコラボ演奏
など多彩な催しを企画してファン層を増やしているようである。

南米の民族音楽とオリジナル曲とを組み合せた演奏会も好評なようである。
今日の演奏会でも 「アメージンググレース」 は拍手が多かった。

アルパは、スペイン語でハープという意味があり、アルパの奏者をアルピスタと呼ぶ。

日本では女性の奏者が多いという。倉品真希子さんも日本のアルパ奏者として有名な
方で、その豊かな演奏の音色は、自らの作曲による創作と独自性から癒し系の演奏会
として、再来を待つ人が多いという。

当日も、アルパの演奏会が終わるやいなや会場からは、満足げな表情をした聴衆から
アンコールを求める拍手が会場内に沸き起こり、まさに、聴き手の気持ちが一つにまと
まって大いに盛り上がったことは云うまでもない。

演奏会の後は、喫茶店の店主とプロモーターの野仲先生、それに本日の主役アルパ
奏者の倉品真希子さんの三人でこの場所からは歩いて行ける同じ入間市内のホテル
のレストランにおいて、懇親会があるというので所期の狙い通り臨場感を共有出来た
野仲先生との取材の時間は、後日と云うことで日時と場所を決めて再会を約した。

演奏会の会場出口では、アルパの音色の余韻を自宅でも楽しみたいという人が列を
成して、CD を買い求めた。もちろん、私も、倉品さんが手作りしたというCDを買って
帰ることにした。

演奏会の会場では 「さくら色のしずく」 の曲が印象に強く残ったので、帰宅後、早速
拝聴することにした。演奏会で、興味深く聞いた曲だが、あらためて一人で聴くとまた
違った味わいが感じられて癒し感が心の中に沁み込んでくる印象であった。

自宅で、日本的な琴の音色にも似た音感のある「さくら色のしずく」の曲を聴いた後で
倉品さんが手作りしたという栞を拝見していると、最終頁にこんな記述があった。

「主役は、いつもお客様です。いろいろな・想いを抱いている人たちの心に、一瞬でも、
アルパの音色に触れて、その人が元気になったり、生きる力が湧いてきたり、自分の
大好きな人や自分のことを大切に想ってくれる人の存在に改めて感謝したり、そんな
気持ちになってもらえたら、私は一番嬉しいのです。そんな空間は私が主役ではなく、
いつも、お客様が主役です」。

このメッセージを拝見して演奏していたときの倉品さんの笑顔と優しい語りかけを想い
出し各地で演奏会の再来を待つ人が大勢いることが私には皮膚感覚で理解できた。

さて、主題に、話を戻そう・・・

野仲先生は音楽教室も運営されており、たいへん忙しい方なので、演奏会場となった
喫茶店に、後日、演奏会場で使った荷物を引き取りに見えるということで、その時間に
合わせて再会させていただき、無事、取材をさせていただくことが出来た。

私が取材を担当することになった経緯は、生涯学習として学んでいる大学および科目
履修のみを選択している大学院の学習を振り返る過程で、地域における実践活動が
必要となり、市役所に出向いたところ・・・

地域に根付いて生涯学習を実践している方々の紹介記事を担当してみないかという
ことになり市役所で年2回発行している記事の一部を担当することになったのである。

野仲先生は、武蔵野音楽大学を卒業されて、東京フィルハーモニー交響楽団で活躍
され、現在は、地域の子供たちの音楽教育および地域における大規模な演奏会から
中・小規模演奏会まで、幅広くプロモートされるなど、まさに、生涯学習的な観点から
大活躍されている方と云うことで取材が決まり、私が担当することになったというのが
大まかな経緯である。

野仲先生には、今回の取材の趣旨を先ずはお伝えして、予め用意した質問項目に
沿って、お話をお伺いした。たいせつなポイントは手元のメモ帳に書き留めて、後日
記事にするときの備忘録とさせていただいた。

同時に、記事に添えて掲載する顔写真も撮影させていただいた。

取材後、先日のアルパの演奏会に話が及び・・・

「アルパの演奏会に参加させていただいて良かったです」 と、お伝えすると、次は、
この夏に、群馬方面に、出掛けてピアノによる演奏会を開催するという話題が紹介
され、その演奏会場について思いがけない話が飛び出してきて、私は思わず身を
乗り出して聞きいってしまった。

群馬県では日曜コンサートという呼称で演奏会を開催しているとのことで野仲先生
も定期的に群馬県まで出掛けているとのことである。

次回の群馬県での夏の演奏会の計画もあって、野仲先生がカバンの中に群馬県
の音楽堂施設のパンフレットを持参されていたので、早速、拝見させていただいた
のであるが、立派な音楽堂であり、演奏会場も広く 150名が収容できる本格的な
音楽サロンである。

まさに、そこは、快適な音楽空間として設えてある。

パンフレットには、土地探しから始まり、ご夫妻の手で施工した土地の造成現場や
基礎工事の施行写真、さらには建設現場の進捗状況を推し量ることが出来る写真
などが手に取るように紹介されていた。

ご夫妻だけで、これだけの建造物を約5年間の歳月をかけて建設されたとは、ただ
ただ驚くばかりで、まさに、想像の及ばない芸術作品が写真に写っている。

しかも、奥様は魔女ではなく、指先を大切にするピアニスト。ご主人も建築士や大工
さんではなく、声を大切にするオペラ歌手であるという。

その後、野仲先生とは別の機会にお会いする幸運に恵まれて思いがけず群馬県の
音楽家ご夫妻の建築日記(コピー)をいただけることになり、人生の不思議なめぐり
合わせを感じた。

この建築日記は音楽堂を訪問した人々に来訪記念としてプレゼントされているもの
であり、表紙には 「美音里ホール(Vinely Hall)建築日記」と表記されている。

どうやら奥様による著作のようである。表紙には音楽堂を正面から撮影した写真が
掲載されており全部で36枚の構成による冊子となっている。音楽家ご夫妻の建築
日記は 「簡潔な文章でまとめてあり」 「読みやすく」 書かれている内容も 「冒険
小説のような書き出し」 に、なっていて面白い。

野仲先生はこの建築日記を手にされたとき奥様に「出版されたらいかがですか?」
と声をかけたところ・・・

「そのような考えはないこと」が返事として返ってきて、少し残念な思いをされたのだ
という。今回の取材で・・・

「野仲先生が音楽を好きなように」
「私が文章を書くことが好きであること」
を知って、私に音楽堂の建築日記を渡したら、多分、私の執筆の参考になるのでは
ないかという直感が働いて、コピーしてみたのだという。

(続 く)

【連載】シルバーエイジの物語 Book 1

【連載】シルバーエイジの物語 Book 1

一生涯学生作家(万田竜人)としての処女作を喜寿を超えた知見を加えることでリニューアルすることにした(そこには新しい風景が見えてくるかも知れない)・・・

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-03-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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