バレンタイン

林やは

甘やかしてほしいから、きょうだけはあの子を殺してあげられる契約を、結びました、僕の世界で。死んでしまうことに気づくまで、誰ももとめてはいなかった、特別な日を、僕らは最終手段として、愛を理由に制定した。あの子が料理したチョコレートの量と、僕が食べたチョコレートの量は、平等ではなくて、世界中のどこかで、甘やかされなかった人のチョコレートは捨てられて、動物が理性を持とうとするとき、僕は好きな人のことを考えていた。かわいくなりたかったから、舐めた、手に垂れたチョコレートは、味がしないことになっていて、それでも、きみのことを思った、ゆびが溶けてしまいそうだった。ほんとうはあの子の手垢のついた、クッキーが食べたい。美しい人の美しくないものを、食べることで、僕は美しくなりたい、そんな日。僕はあの子のことを殺しながら、きみに恋していて、とてもつまらなくて、どきどきしています。

バレンタイン

バレンタイン

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-03-23

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