統合失調症/無意識の研究(4.精神病の予防)
1.エス由来の現象・行動
精神が病的な状態は、長時間の抑圧状態と関係が深く、室内で真面目に長時間、勉強や仕事にまい進しても、日光浴等の気分転換や運動を怠ってはならない。過度に成果を急ぎ仕事に集中し過ぎると、エスのプレゼンス増大(邪念増大)を招きやすいだろう。
エスが原因と見られる現象や行動パターンとして次の通り。
(1)太陽に当たらない。外出せず、運動もしない。声を出さない。身体を冷やす。(シャワ―はともかく)風呂に入らない。医者に行かない。
(2)栄養補給を怠り、血糖値を下げてしまう。(判断力が鈍り、エスの登場しやすい環境が実現)
(3)滑舌が良くない。言葉の言い間違いをする(Freudian slip)。声が出ない。
(4)周囲との交流がなく、人間関係が成立しない。孤立する。
(5)テンションの高い状態を続けてしまう。
(6)政治的に不適切で目立つ、恥をかく行動パターン。
2.エスの悪意
エスには随意筋を操作できない劣等感があり、これを晴らそうとして本人のストレスを増大させ、意地悪や中傷、イジメを招こうとする。そして達成感が得られない様に仕向ける性癖がある。
(1)自律神経失調症を演出
(ア) 心臓の拍動が不自然に早まる様な不整脈。
(イ) 光が過剰に眩しく感じる。周囲が気にしない音が不快に感じる。
(ウ) 食事中、嚥下の問題を起こし、むせて咳込みやすい。
(エ)突然トイレに行く欲求が起きる。
(2) 低能を演出
(ア)脅迫神経症(鍵をかけた後、不安感を煽って何回も確認させる)
(イ)容姿や服装、みだしなみの趣味が悪く、だらしなく見える様にする。
(ウ)人前で話す際、どぎまぎさせる。
(エ)時間厳守を阻み、メールや手紙の返事が遅れる様にする。
(オ)文章を書く場合、同じ内容を繰り返させる。文節を区切る句読点「、」を多用させる。特定単語を失念させる。
(3)感情操作
(ア)エスは(心拍数の増大、アドレナリン分泌等を通じて)人間の感情に何らかの振れがある場合、意図的に増幅させ、感情を高ぶらせて思考力を奪う事が出来る。その結果、周囲の理解しない原因で自失呆然となり、取り乱し、涙にくれ、あるいは怒りに震えて怒鳴り、けんかを売る等目立つ行動があろう。
(イ)予期せぬ事件のニュースや情報が入り、過去の経験のフラッシュバックに繋がり、トラウマを招く場合が挙げられる。エスは奇貨として感情を増幅させ、涙、怒り、恋愛感情等を誘発しようとする。
(ウ)酒を飲み、アルコールの影響下にある場合、単純な原因で起きやすいので要注意。
(4)孤立
エスは、自我に対して独占欲を有しているので、強く自己主張し始めると、当人が他者と交流を持ち、人間関係を結ぶ事を阻もうとする。これが酷くなるとオタク状態と孤立が続き、精神病が発生する。
(5)浪費癖
生活必需品でない多額の買い物や高価な遊興に向かう。周囲から本人に注意喚起し、収入と支出のバランスを定期的にチェックし管理すべきだろう。
(注)以上の場合に有効なのが「自己体罰」。(できれば鏡の前で)左右の頬や両耳の周囲を「ビンタ」風に強く叩く。するとエスが沈静化するだろう。加えて後頭部の左右を拳で小突くべし。他人に向きがちな感情を自らのエスに向ける手法であり、周囲に人が不在でも良く効き、我に返る筈である。
3.ストレス管理
日頃の行動や言動に、エスの影響力が過度に及ぶのを防ぐには、ストレス管理が必要である。エスは、生活におけるエントロピ-(無秩序、混乱)が増す場合に影響力を及ぼしやすくなるので、エントロピ-を奨励するだろう。従って日々の生活上、実態はともかく「見かけ上の秩序/平静」(semblance of order)を保ち、エントロピ-が増すのを抑制すべし。
生活上の感動は必要だろうが、長く続く場合、ストレスが蓄積してしまう。従って冠婚葬祭、進学、就職、引っ越し等の局面を含め、泣き上戸、馬鹿笑いなど、過度に続く激しい喜怒哀楽を慎み、特定活動への依存や耽溺を避ける必要があろう。仕事中毒(ワーカホリック)も同様。
言い換えれば、左右の脳半球をまんべんなく活用し、左右何れかに依存し過ぎない様、心掛けるべし。左右の脳半球の特定部位に依存し過ぎると、エスが、自我の立ち入らない側の脳半球に侵入し、橋頭保を築く。そして精神病発症の準備が整うからである。
いにしえの賢者の知恵は重要であり、何事にも「中庸の徳」が必要であり、深入りしない姿勢が必要。結局、毎日の生活を時間的に、また財政的に出費を管理し、生活のバランスが狂うのを避けるべし。
4. 生活上の注意事項
(総論) 一日の起きている時間の体力をPとすれば、座って過ごす間に使う体力、P(S)と、(立って)身体を動かす間に使う体力P(M)に分かれるので、
P = P(S) + P(M)
この様な体力は、意識(E)と無意識(I)が利用する。無意識は、原則としてこれを体調整備に利用。しかるに座って過ごす場合、体力的に楽なので、余剰分が発生する可能性があろう。
(座って過ごす場合) P(S) = P(E) + P(I)(体調整備) + α(余剰)
しかるに無意識が、体力の余剰分(α)を、いつのまにか自己実現(悪戯)に利用してしまう可能性があろう。
これに対し(立って)身体を動かす間は、体力の消費量が大きく、(随意筋の運動を主導する)意識が優先的に使うので、余剰分(α)が消え、無意識は、恒常性の維持等、体調整備以上の事ができなくなる。
(身体を動かす場合) P(M) = P(E) + P(I)(体調整備)
この様に、身体を動かす間は、無意識への体力配分が減るので、無意識は、余剰体力を発生させ、これを遊びに使える様にするため、座って静かに過ごす時間を限りなく延長しようとする。このため、PCやスマホ、あるいはテレビのスクリーンを見る事を奨励し、身体を動かさない時間を、限りなく伸ばそうとするだろう。
従って無意識の悪戯を抑えるためには、極力、身体を動かして余剰体力(α)を減らし、これが無意識に利用されない様、心掛ける必要があり、なるべく活動的に過ごすべし、との結論が出る。
またライフスタイルに応じ、仕事や普段の生活で使う以上の、余計な体力がつかない様に、食事を制限し、摂取カロリーを減らす事を心掛けるべきだろう。
(各論)
(1)睡眠
充分な睡眠を取ること。安心感のために、木の枕や抱き枕も活用すべし。
(2)日光浴 : 光に当たっていることを積極的に意識し、「明るいなあ!」と念じること。
(ア)日中は外出する事。朝の散歩は特段に有効。(夏場は,早朝と夕方以降)
(a) 体内に微弱電流を誘発。脳の電気的な活動によって生じる電磁場を乱し、思考プロセスと共に疑心暗鬼を麻痺させる。
(b)光の刺激で、睡眠導入作用のあるメラトニンの夜間分泌が活発化。
(メラトニンは特に、REM睡眠の発生に深く関係し、日光浴は、REM睡眠と夢そして早起きに結びつく由)
(c)心のバランスと関係するセロトニンの分泌を促す。
(イ)屋内では、部屋を明るくする。
(3)運動
(ア)エスを飼い犬に見立て、散歩や運動させるつもりでスポーツ、ラジオ体操、ストレッチング等。随意筋をフルに動かすことは、自我の主導権回復につながり、その支配を助けるので、運動やスポーツを励行すべし。
時として頭の位置を低くし前頭葉に血液が流れ込むようにする → 四つん這い、腕立て伏せ等。
(イ)生活習慣の中に、家事労働、庭仕事、子供の世話、介護、日曜大工等の肉体労働を取り込んでいれば、かなりのエネルギー消費に繋がり、自我の支配する場面が増えるので肉体労働は大いに奨励される。
(4)腹式呼吸
腹式呼吸は、普段、自然に任せている呼吸にまで自我の意思を反映させる意義があり、左右の脳半球の同時支配を助けるだろう。実際、息を深く吸い込む時にエスが集中力を失い、Brain Chatterが一時的に停止するのである。(この点から太極拳やヨガが奨励され、実践すると発想が男性的となり、エスの抑制に優れた効果)
下腹部の「丹田」を意識し、腹式呼吸を例えば次の要領で。
(ア)ゆっくり鼻から息を吸い込む。
(イ)息を十分吸い込み「耳抜き」する。(旅客機上昇の際、両耳の気圧調整をする要領で)
(ウ)「うん、うん、うん」(NG、NG、NG)との鼻濁音と共に、鼻から息を吐く。
(エ)再び(ア)に戻る。
(5)声を出すこと
無意識には、個人の発声を思い止まらせて対人コミュニケーションを妨害し、孤立を図る性癖がある。これを阻む技、次の通り。
(耳たぶ)両手のひらで左右の耳を同時に覆い、まるで耳たぶを温める様に、両手のひらで耳たぶを強く摩擦しながら円運動を繰り返す。刺激や振動が脳神経系統に伝わり、無意識の影響を排除できよう。
(脳幹)後頭部の首の付け根部分を圧縮するつもりで、頭を強く後ろに反らせる。脳幹は、無意識が体調を管理する拠点なので、後頭部の首の付け根を刺激すると、無意識がけん制されるのだろう。
(ブローカ野、ウェルニッケ野への刺激)脳の解剖図で、発話・聞き取り等の言語能力に関係の深い、ブローカ野(額の両脇の窪み)、ウェルニッケ野(両耳の上辺り)の位置を確認し、それぞれ指で揉む。すると、声が出やすくなる。
(高い声)自分の高音の限界を試す(周囲のガラスを割ってしまう)つもりで、口を閉じ、実際には声を出さない様にしつつ、頭上に向けて、極限の高音で静かに叫ぶ。すると左右の言語野から、無意識が排除され、声が出しやすくなるだろう。
(6)風呂
風呂は、シャワー等と違って、身体を洗って汗を流し、衛生的に保つだけではなく、体内の電気的なバランスを調整する目的があるので、最低でも、週に1~2回は入浴すべし。
(7)血糖値
食事の時間や内容に注意を払い、甘い物も活用しつつ血糖値の低下を避ける。
(8)エスとのスキンシップ
人間は、スキンシップを含め幼児期に十分な愛情を得る事が健全な成長に重要である由。エスは、脳内のペットの様なもので、時々頭部を撫でてスキンシップを保ち愛情を示すべきであり、これが欠落すると問題が起きがち。
従って毎朝、鏡の前で顔を洗う、髪をとかす、顔にスキンケアを施し化粧する等、頭部に直接触れる作業を馬鹿にせず、積極的に励行すべきであり、歯磨きや楊枝の使用、耳かき等、頭部の「穴」(口腔、耳鼻科系)の日々のケアも同様。
また髪のセットや顔の化粧に長時間かける女性の行動パターンは、男性には理解困難かも知れないが、エスとの関係を良好に保つ上で重要であり、模倣して然るべきだろう。
なお西洋では挨拶の際、握手や頬同士を触れ合わせる簡単なキス(フランスで言うビーズ)を交わす習慣があるが、お互い(自我同士)の人間関係を整える上、スキンシップを通じてエス同士にも交流が生まれ、精神衛生に有益なのだろう。
(9)生活のリズム
(ア)黄昏時から日の入りそして夜は、往々にしてエスの影響力が高まりがちとなるが、エスも動物であり、精神衛生の管理が必要なので、犬に散歩をさせるように、時々発散させた方が中長期的には健全である。
(イ)但し夜だからと言ってエスの意向にばかり従っていると、どうしてもドーパミンの分泌を促すような「ノム、ウツ、カウ」行動パターンに耽溺しがちとなるので歯止めが必要。門限を設ける、禁酒する等、基本的な工夫をすべし。
(ウ)発散する際は、特にスポーツが奨励されるが、それ以外では美術・音楽・映画・演劇等、できるだけ文化程度の高い方法を選ぶようにすること。
(エ)働き過ぎは、体調不良や健康障害、精神病等に至り得るので要注意。その極端な帰結が、過労死であろう。
(10)左右の脳をバランス良く
英国の研究者Iain McGilchristは、著書「The Master and his Emissary」の中で、西洋文明が左脳に偏している事が多くの問題の根源であり、精神の健康の秘訣は左右の脳半球をバランス良く使う事である旨示唆している。試論として敷衍すれば次の通り。
(ア)人類の直立歩行に伴い、それまで地面の方を向いていた心臓は、下方の突端部分が身体の左寄り外側を向き、無防備となった。そのため火を使用する場面では熱が早めに心臓に到達するのを防ぐ為、右手を使い、また武器を使用する場面では心臓を守るため、右手で剣、左手で盾を持つ習慣となった。
(イ)右利きが流行ると、機能交差のため左脳が重点的に活用される結果となり、狩猟、採取、炊事等あらゆる場面で仲間と意思疎通の必要から、会話用の言語野も左脳に発達した。こうして右利き・左言語野が一般化した。
(ウ)教育程度の高い者に関しては、筆記(記録)、読書の場面を含め、左脳をますます長時間続けて使用する様になった。そして産業革命以降、人口が都会に集中しがちとなり、高い識字率や高度教育を前提に、これが一般化した。すなわち身体をあまり動かさない「読み書き算盤」系の事務作業の従事者が増えた。
(エ)次第に右脳をおろそかにする結果となり、無意識(エス)が意識(自我)の不在につけ込み右脳の言語野に侵入し、精神病を発症させるケースが増えたに違いない。精神の健康の秘訣は左右の脳半球をバランス良く使う事であり、偏重ある場合には是正すべきである。
(オ)従って生活に右脳を積極的に使う活動を導入すべし。例えば空間的な移動を伴うスポーツや運動、舞踏。美術鑑賞、音楽(鑑賞、演奏、歌唱)。映画も特に広いスクリーンで見れば忙しく目線を左右上下に動かすだろう。
(11)月齢
エスが特に騒ぐのは新月と満月、また半月の時期なので常に月齢を確認し、エスの影響力増大に警戒する。
(12)季節対策
(ア)夏
暑さのあまり「キレル」ことのないようにすべし。「肩こり」対策や血行促進用のゲルマニウム、チタン、トルマリン等使用の健康器具には、同時に体を冷やす効果がある。
冷房下では、体を冷やさぬよう注意すべし。体を冷やす食べ物、暖める食べ物を意識し、自分に合った食生活を心がけること。
(イ)冬
寒い上、日の出ている時間の短い冬は、とかく部屋に閉じこもりがちとなるので、エスの影響力が強くなる傾向があり、自我とエスの力のバランスが崩れがちな季節と言えよう。ウィンター・スポーツ、社交ダンス等の社交行事、囲碁・将棋を含む知的遊戯等、活動的にするための特段の努力が必要。
身体が冷えると思考が萎縮し、エスが暗躍する。従って積極的に身体を温めるべし。入浴や温泉。マグネット使用の健康器具には体を温める効果がある。
5.各論
(1)瞑想、座禅等
精神統一のための様式化された腹式呼吸であり、「無念無想」により言葉や言語的な呪縛から自らを解放しようとする。この他、東洋的な運動や施術としてヨガ、整体、指圧等。あぐら、股割り、全開脚等は筋肉痛と共にエスの言語的メッセージ遮断に繋がるだろう。
(2)スキンシップ
他人とのスキンシップは、その感触が「我に帰る」きっかけとなるのみならず、エス同士の交流のきっかけにもなるので、エスの機嫌を取る上でも重要である。
なお西洋社会では、最低限のスキンシップは握手で実現するがお辞儀する日本では積極的な工夫が必要。名刺交換も?「東京砂漠」の原因は、大都会におけるスキンシップの欠落か。夏は水泳や(温泉)入浴も。
(3)姿勢と態度
(ア)血糖値を常に一定以上に保ち、知力と克己心を維持。マルチ・ビタミン/ミネラル。
(イ) 下を向かない(左右の手足の指を動かすと、どちらか片側の手足の指の運動が、首を持ち上げるきっかけとなろう)。
(ウ)目線の方向は、低くてもなるべく地面と平行に。目の焦点は遠くに保ち、無理な場合は「心眼」で遠くを見る。
(エ)周囲の人間との関係では、男性なら姿勢を良くする為にも喉仏を露出させ、また意識を自分の頭上(頭部の更に上)に置き、声もその高い位置から出すつもりで交流する。
(4)空気を読む
周囲の空気を読むには、ボソボソ、ソロリソロリ等、擬声音や擬態音を含むオノマトペに着目すべきだろう。
外出の際は、例えばカラスが鳴いていれば、カーカ-、工事現場でドリルを使っている場面なら、ガガガガガ等のオノマパトペを使い、口の中で、静かな伴奏の様に繰り返す。すると、かなりうるさい場面にも凌ぎやすくなり、委縮せずに済むだろう。
更に、周囲の人の声や会話にも、これを応用し、聞こえてくる断片的な言葉や会話を、口の中で静かなリフレインの様に、繰り返す。「やあ!」と聞こえたら、「やあ」である。するとまた、溶け込みやすくなるだろう。
その理由は、声帯を使うので、エスによる声帯使用、そしてBrain Chatterを阻み、しかも周囲で、最も大きく、支配的な音や声に合わせるので、「多数派」に参画する気分になる。場合により、周囲のエスが、この様な「同調の姿勢」を察知し、懐柔される可能性があろう。
(5)お互いの自己顕示欲を満たす
人間関係の入り口では、大前提として、お互いの自己顕示欲を認め合い、これを満たしあうサービス精神が必要である。従って見知らぬ者同士でも、狭い空間で一緒になったら、仮に言葉を交わす事がなくても、挨拶的に目を合わせ、目立ちたそうな言動や素振りに遭遇したら、一時的なりとも視線を注ぐ事。
(6)会話
(ア)第一印象
心地良い声を出すため、口蓋を含め上半身の空洞部分から響く様にする。(姿勢よく保ち、おたふくのイメージで口蓋に余分な空気を含む等)するとエスが発声に参加し、声が良く響くだろう。
(イ)滑舌
滑舌を良くするため、舌を口の外に突き出して伸ばし、更に上下に動かしながら舌のストレッチ体操をする。(舌により喉が引っ張られる感覚を味わう)
(ウ)抑揚
日本語は、国際的に見れば抑揚の少ない言葉だろうが、言葉の抑揚は精神衛生上、重要であり、周囲との関係を良好に保つ上でも役立つ。ついては言葉のアクセントやイントネーションに気を遣うべし。
先ず、言わんとする事を、音声なしに相手に伝えるつもりで口の中で練習する。するとうまく言いやすくなるだろう。
(エ)話題と会話のつなぎ
その日の天気、お互いの健康、最近のイベント等、差し支えない様な話題を繋ぎながら、会話が継続できれば良いが、時として共通の話題が、すぐに尽きてしまう場合もあろう。
その対策として挙げられるのが、目線の運動である。意識が、基本的に目線の奥に位置する事を応用し、目線を時々、動かし、使用する脳の部位を変えつつ、自らを刺激するのである。
すなわち目線の向きを左右に転換すれば、使用する脳半球が、右左と、その逆側に移動し、また目線を上下に動かせば、使用する脳の部位がまた変わり、気分転換できよう。但し、後者の上下運動は、景色を見る等、分かりやすい理由のない限り、相手が不審に思う可能性があり、密かに行うのが望ましい。
(7)折り目正しさ
(ア)日本的な「折り目正しさ」の秘訣は「両手両指に関し、なるべく真っ直ぐに形を決め、動かさない事」だろう。
先ず両腕を真っ直ぐ下におろして両手のひらを開き、全ての指をくっつけて柏手にし、下に真っ直ぐ伸ばすのである。(「気をつけ」の姿勢)そのままお辞儀すると礼儀正しく見えるだろう。
しかも両手から先は、左右の腕を曲げる際にも「柏手」に保つ様にする。人に何か示し、案内する場合も「白手袋で手旗信号」的な動作を心掛けるのである。すると一応「折り目正しく」見えるだろう。
(イ)動作が硬直的・画一的で軍隊式ともなろうが、手指が動かないので他人を侮辱するジェスチャーも抑制される。外国では個性と表現力を奪うので、あり得ない習慣かも知れない。例えば仏像には、仏が両手の指をそれぞれ特異な形にして「印」を結ぶ姿が見られるが、個性的で「折り目正しさ」とは相容れないだろう。
(ウ)この様に窮屈な面はあるものの、礼儀正しさと秩序・一体感を重視してきたのが日本文化と認めざるを得ない。その理由は地震や台風等、大規模自然災害の多い島国なので、防災や復旧の局面を含め忍耐と規律が重要。更に日本人は海洋民族であり、漁業を含め航海の際、乗組員の全ての行動を経験に根差す規律で仕切る方が船も揺れず安全で精神的に楽、との発想があるのだろう。
(8)グループ活動
チームプレーの必要とされるスポーツ、舞台で行う演奏や演技等、多人数の協力が必要な活動では、エス/無意識が嫉妬し、介入し邪魔する傾向があるので、予め牽制し、制御する必要があろう。ついては事前に、「おのれ」(エス/無意識)に対して、「ここは大事な場面なので、協力するように」と念じて言い含めることが大切。
6. 倫理・道徳教育
(1)倫理・道徳の研究
(ア)エスは前頭葉にアクセス出来ないので、倫理・道徳・哲学等、人間に特有の思考領域に入ることが出来ず、自分の意志を遂げようとする場合には、常識や不文律、ルール・法規範等を無視して突き進もうとする性癖がある。
例えばエスが言語化する場合、自我に対して悪口を言いながら動揺させ、甘言しつつ不利益になる事ばかり企む。そして中長期的に人間を破滅に追い込み、奈落に突き落とそうとする、敵対的な悪魔の様な存在と化してしまう。
(イ)エスが本能的・動物的であるだけに、自我が支配することと倫理に則った生活ができる事は表裏一体の関係にあり、倫理・道徳の研究は重要。
従って倫理・道徳・思想・哲学について勉強し、自らを教育すること。(異性との間合いの取り方も含まれよう)もって社会あるいは共同体との連帯感、協調性や常識を養成し、再確認すること。
これこそ「人間脳」と言われる前頭葉の扱う分野であり、エスは立ち入れない。しかるに前頭葉の駆使につながり、自我の支配を確立する上で大変に有用。
(2)克己心
(ア)日本では、特に若い人に向けて「己に勝つ」、「克己心」等の言葉で、原始的欲求を抑えつつ、より崇高な目的を達成するよう、学校等で教える伝統があるが、「己」(おのれ)の実体はエスではないかと思われる。
従って「克己心」は「エスを抑えよ」との教えであり、直ちによく理解できなくても兎に角従うのが賢明とされてきたのだろう。
(イ)克己心の究極の形は「自己体罰」。これはエスに対する少し荒っぽい制裁であり、エスの呪縛を逃れて我に返るきっかけとなろう。
(鏡の前で)左右の頬や両耳の周囲を「ビンタ」風に強く叩く。加えて後頭部の左右を拳で小突くべし。
(ウ)座禅は、静寂の中に座り、自我・エス共に自らと向き合わせ、客観視させ、悪意や邪念の克服と「人の生きる道」を考察させる事が目的だろう。
(エ)東洋の陰陽思想(Ying-Yang)は、自我とエスとの勢力バランスを念頭に置くものと思われる。
(オ)ヨガの大きな目的は,エスが管理している身体機能をも,自我の支配下に置くことだろう。例えば意識的に腹式呼吸を励行する目的は,酸素吸入・老廃物排出,心拍数や血圧を支配下に置き、エスを支配下に置く事と考えられる。
(3)宗教
多くの宗教では、具体的な戒律を設け、自我・エス双方に対して「違反すると地獄に落ちるぞ!」と威嚇し、邪まな行動や発想を封じようとするが、これは各々の宗教の生まれた土地で歴史的に形成されてきた善悪の観念や倫理・哲学を反映していよう。
また宗教行事のため、信者の会合が比較的頻繁に開催されようが、ここから共同体の様な連帯感が生まれて集合的無意識が働く様になり、戒律に照らして行動が常識的でないメンバーを諭す力学が働くに違いない。
(4)楽観論(Optimism)
周囲の人間、組織、社会とのかかわりにおいて、常に楽観的な発想や世界観が必要である。
エスが悲観的な見方を吹き込もうとする場合、目的は自我の士気をくじき、元気を失わせ、もってシニカルで退廃的な発想に導き、支配する事だろう。従ってこれを強く拒否し、はねのける事が重要。
論理的な左脳ばかり使用していると、悲観的になりやすい。そこで明るく前向きな楽観モードに転じたい場合は、意識を(空間認識や人間関係中心の)右脳に入れるべきであり、室内なら音楽を聴く、左側の手足の指を動かす等試みるべし。
7.心構え・精神病教育
統合失調症に関しては、国民的な教育が必要である。特に外国等、ストレスの高い環境に移動する場合には、現地の保健・衛生・医療事情につき勉強し、準備する中で、精神衛生教育の一環として「エス教育」を含めるべきだろう。
すると不運にも精神障害が発生した場合、混乱に陥り、騒ぐ度合いが低まり、危機管理しやすくなる。発生後に教育を試みても、エスが邪魔するので、効率的でなかろう。
(1)周囲から、執拗に「悪口」が聞こえる場合、医療ケア以前の応急措置として、次の通り。
(ア)聞こえたと思われる「悪口」を、声の出ない範囲で、静かに口の中で、そのまま繰り返す。つまり静かに「リフレイン」すれば、鎮静化するだろう。例えば、次の通り。
キチガイ! ⇒ (静かに)キチガイ
ワカイ ! ⇒ (静かに)ワカイ
クサイ ! ⇒ (静かに)クサイ
Go home! ⇒ (静かに)Go home
(イ)危機管理として最終的には「自己体罰」(後述)が有効。
(ウ)「悪口」の原因が、無意識(エス)である場合、集合的無意識(エス集合)が、顕在化するだろう。然るに、エス集合に助けを求める事も可能。(後述)
(エ)エスは、医療の邪魔をするだろうが、従ってはならない。
(2)「全ての人間には無意識(エス)が内在するが、これが言語化すると、統合失調症を発症する」旨、周知徹底し、更に次の通り。
(ア)Brain Chatter(あらぬ声。幻聴)の発生以前から、エスは、周囲の人間を「無声メガホン」で挑発し、非友好的で差別的な態度や言動を招くので、イジメを受けやすい。
(イ)Brain Chatterが始まると、エスは悪口を混ぜることが多く、しかも周囲の人間が原因、との誤解を誘発する。
(注)海外で、人種や宗教の違う国に到着して間もなく、あらぬテロ事件を起こす事例があるが、言葉や風俗・習慣の理解できない異国で、Brain Chatterを伴う統合失調症を発症し、周囲から執拗に「悪口」が聞こえるので、ひどい差別を受けたと決め込むケースもあろう。
統合失調症/無意識の研究(4.精神病の予防)